2003-07-06
サービスへの思い NO 477
ゴルフが大好きな友人。彼が私のホームコースでプレイし、「有り難う」と電話をしてくれた。
スコアには不満足だったらしいが、ゴルフ場のスタッフやキャディさんのことをしきりに褒めてくれ、嬉しい報告ともなった。
ホームコースでありながら、この8年間でプレイしたのは1回だけ。きっと私のことなんて忘れられた存在だろうと思っていたが、フロントやキャディさんから「是非お誘いください」と言われたそうだ。
このゴルフ場で忘れられない思い出がある。10数年前頃、十二指腸潰瘍を患った私は、食事の前に必ず服用しなければならない薬があり、ゴルフ場内のレストランで「白湯」を所望した。
その時に対応してくれた男性スタッフが素晴らしく、その日の昼食から始まって、完治するまでに何度か訪れた3ヶ月間の間、席に着くとすぐに白湯を持ってきてくれていた。
彼は、プレイを共にした同伴者にも評価が高く、ある日、私が「ホテルマンの体験があるでしょう?」と訊ねたことがあったが、「はい」とはにかみながら答えた表情が印象に残っている。
姿勢がいい。表情がいい。これらはサービス業に従事する者の基本であるが、サービス業のトップにランクされるホテルマン。人の顔や名前を記憶する術に長けていることも大切だろう。
彼は、私が1回同伴した人達のことも覚えており、プレイ前のコーヒータイム。「おはようございます。**様、久世様とは2ヶ月振りでございますね?」と言われてびっくり。同伴者のほころぶ顔は、メンバーである私の喜びにもつながったのは当然である。
こんなスタッフは「人材」ではなく「人財」。ホテルでの仕事が多くなってきた弊社では、今、ホテルマン以上を目指そうという指針の元、「人財」の育成に取 り組んでいるが、葬祭業という仕事に従事する者は、「ホテルマン以上の資質が求められる」という認識だけは至っており、今後は各々の意識改革と研鑽に委ね られている。
「サービスとは無限である」「二度と出来ないサービスはするな」
そんな矛盾するような指導要綱を掲げたホテルがあったが、この中に「サービス」というものの奥深い難しさが潜んでいるような気がする。
これまでの私の人生にあって、その道楽の中で学んだひとつのサービス哲学がある。それは、「人を差別することは絶対にいけないこと。差別する側の人格は 『無』。しかし、サービスの世界にあって、上質の差別を受ける側の人には快感が生まれる。そこに究極のサービスの理念が存在している」
「人生最後の旅をファーストクラスで」
弊社のスタッフは、そんな思いを共有しながら、日々悲しみの葬儀に携わっている。