2004-11-28

隠れ家での涙   NO 989


 今日は、友引の日。落ち着いて<難しい原稿創作を>と予定していたら、朝からスタッフが足らなくなり、ご自宅で行われる葬儀の司会を担当することに。

 担当責任者から全体的な情報を入手し、間取りの図面を書いてくれるように頼んだら、大雑把だが的確に構図が理解出来るものが提出されてきた。

 そこで疑問が発生。玄関から祭壇が設置されている部屋までの廊下が問題。物理的に会葬者を中まで迎えることが無理なよう。

 彼は「お客様と細部に亘って打ち合わせが行われております」と自信たっぷり。図面の一点をペンで指し「お任せください」と返してきた。

 確認してみると室内にビデオカメラを設置し、昨夜のお通夜からモニター中継で流しているとのこと。

 式場に行ってみると、廊下のコーナーに音響システム機材がセッティングされ、その横にパソコン画面のようなモニターがあった。

 <よく映っている?>と興味を抱いて部屋の中に入ると、本格的なビデオカメラが据え置かれている。

<こんなの会社に存在したのか?>と思いながら祭壇側をチェック。限られたスペース内での動きを考え「六灯」の点火を早めに命じた。

 開式10分前、ふと確認した「六灯」のひとつの燃焼が弱く、すぐに予備品に交換させたが、一割ぐらいの確立で欠陥品があるようで、キャンドルメーカーに改善を促したいと思っている。

 モニターの効果で進行がスムーズに運び、重視しているお別れの時間がゆっくりと提供出来、多くの会葬者の方々を招き入れることにつながった。

 さて、ご出棺。親戚に男性の方が少なく、お柩にお手添えいただく方々を会葬の皆さんに公募アナウンス。すぐに予定の3倍ぐらいの人達が入ってきてくださり、故人のご人望を知るひとときともなった。

 喪主さんや親戚の方々が「有り難う」とお声を掛けられ、お手伝いの方々とのあたたかい功徳の交流が芽生える。その光景をご覧になる会葬者も「よかったね」という表情を見せられる。そんな日本の葬送文化を大切にしたいもの。

 ご自宅の葬儀は3倍ぐらい気を遣う。終わって疲れて事務所の玄関に車を横付けしたら、息子である企画室長から問題提起。「こんなデッカイ車はガレージに回します」と叱られた。

 <確かにそうだ>5メートル70もある車、邪魔というより目立ち過ぎる。そこで反省しながら隠れ家に。

 机の上に郵送物。中を開けて読みながら涙を流す。ご仏縁に結ばれた素晴らしいお方との出会い。それは、また私の人生の大きな宝物の存在となったから。

 特別なご仏縁、それは不思議な恩愛の絆なのかもしれない。人の世は真に不可思議な縁というものがあるようで、それこそ科学で割り切れない世界なのかも?
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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