2002-05-13
昨日のテレビ番組から NO 73
最近、あまりテレビを見ないようにしているが、昨日の午後9時からのNHKスペシャル、「変革の世紀②情報革命が組織を変える」だけは、じっくりと見た。
末端の兵士が小型サイズの情報システムを携帯し、戦場での現場対応に本人の判断で行動するというアメリカの未来型軍隊。
また、自動車メーカーとして100年の歴史のある「フォード社」の組織変革など、従来のピラミッド型の組織命令図式が見直され、中にはプロジェクトチームが内部から崩壊させる提案を実行させている映像は衝撃的であった。
特に興味を抱いたのは、指揮者のいないオーケストラの存在。それぞれの奏者が感性、個性、思いをぶつけ合いながら音楽を創造するという実態で、高い評価を受け、大企業のオーナーや経営コンサルタントが研鑽に訪れている光景だった。
アメリカの著名な大学では、未来に理想となる組織形態を研究し、様々なハイテクを駆使しながらシミュレーションを行なっていたが、そこに浮かび上がった構図は、これまでの100年の常識を完全に覆すものであった。
私は、これらを自身の仕事である葬祭業に照らし合わせ、この番組を興味深く見ていたが、現在の葬祭業、宗教界が陥っている社会状況が、はっきりと見えたような思いを抱いている。
マニュアル化、ベルトコンベアー型の葬儀サービスを提供する大規模葬儀社、また、永い伝統と歴史に輝く総本山からの通達に左右されるお寺様の世界。そこには、もう、崩壊の図式が成り立っていたように思えてならないところです。
フォー ド社の例として、新型車をラインで製作すると自然に20数万台売れたものが、今や1万台まで減少してきており、お客様と直接携わるポジションや、自分の意 見さえ出すことの出来なかった工場スタッフにも権限を与え、お客様が何を望んでおられるかという個性化、多様化体制を整え、ピラミッドは見事に逆三角形の 構図となってしまっていた。
私達の加盟する日本トータライフ協会では、これらのことを6年前ぐらいから提案し、全国に点在するメンバー 達がそれぞれの会社で、「お客様本位」の見直し姿勢をソフトとして重要視してきたが、メンバー専用掲示板でのやりとりを見ていると、それらが見事に具現化 され開花してきていることを実感している。
家族葬、自由葬、無宗教、偲ぶ会、お別れ会、ホテル葬など、従来にはなかった言葉が今や常識化されてきている時代に、お仕着せ型の白木祭壇だけを売り物にしている業者さんの存在。
また、ご遺族のお気持ちの理解やご要望に対して、一切耳を貸さないという姿勢を貫き通される一部の宗教者様の存在。私達は、今、心から危機感を抱いていただきたいと願っています。
情報社会と言っても絶対に変わらないことがあります。それは、死が誰にも平等に訪れるということであり、その悲しみは万国に共通し、これからも変わることのないことでしょうが、終焉の儀式の「ありかた」は時代と共に変革されてくることだけは確かなようです。
ある社会学者がおっしゃっておられた次の言葉が気に掛かります。
「葬祭業は、お客様の無知のうえに成り立ってきた産業である」
「無知」は情報社会ではすぐに「賢者」となってきます。
弊社では、「愛」と「癒し」のキーワードを重要視し、サービスを提供せていただく過程で「命」と「宗教」を重んじています。
非常に僭越で「いいかっこ」的言葉で表現いたしますと、次のようになります。
<葬祭業とは、参列者に「思い出」を「形見」として差し上げること。そして、故人とご遺族のお心残りを解決して差し上げること>
大規模葬儀会社の崩壊、そのキーワードが上記であると断言する今日の「独り言」です。