2018-04-22
GWを前に NO 8179
医院へは2週間毎に行くことになっているが、昨日に行った際に次回の日程変更が決められた。GWに入って休診となるからで、その間に休診でない日と指定された。それから2週間後になると週末だったことに狂いが生じるのでまた変更することになった。
葬儀という仕事に従事していた歴史の中で「正月」「お盆」「GW」はスタッフ達に気の毒な思いを抱いていた。世間が休日でもご不幸の発生に休日はなく、その期間が早く過ぎることを祈っていた。
社会には公共交通機関や宿泊施設など勤務対応しなくてはならない業務も多いが、葬儀という問題の背景には親戚の人達や参列者の存在も大変となる。
今では携帯電話が普及して誰もが訃報通知が可能となっているが、昔は旅行に出掛けた親戚の人達が不在となれば連絡が難しく、突然死の場合に日程を延ばしたことも少なくなかった。
娘さんが外国旅行に出掛けていて帰国するまで待ったケースもあったし、喪主さんが外交官で重要な任務スケジュールを終えてからと1週間遅らせたこともあった。
ここからは「幸せ列車」の「10年前の独り言」から転載を。
ご存じでしたか? NO 2183 2008-04-21
親戚の葬儀で東京へ行った知人が「参った!」とぼやいていた。世話になった人物の訃報から、日程を確かめずにその日の内に新幹線で出掛けていた。
朝に亡くなられた場合、私の個人的な考えからすると「その日の御通夜」はするべきではなく、家族だけでの「仮通夜」を過ごすことも大切だろう。
彼は、親戚の家に着いて衝撃を受けた。葬儀が6日後ということだったからだ。
家族が外国で勤務とか旅行中の場合に帰国するまで待つケースはあるが、そんな問題がないのに6日後とは彼にとっては理解し難いことだった。
驚いたのはそれだけではなく、仏間に布団が敷かれてあったのに故人の姿がなく、家族の人に訊かれたそう。そこで判明したことは、ご遺体が変化しないようにと「エンバーミングのために搬送されていたとのこと。
弊社でも最近に数件のエンバーミングを求められたお客様があったが、それぞれにご事情があったからで、上述のようなケースではなかった。
彼は、略礼服を持参していたが、帰阪して出直すべきか否かで悩み、無駄な往復の交通費のことを考えてビジネスホテルに4泊することを強いられてしまった。
彼の場合、自営業で奥さんに店の切り盛りを任せられるので助かったが、サラリーマンなら予想もしなかった結末になっていた筈である。
なぜ6日後に、それは、火葬場の都合からだった。大阪の火葬場は公営だが、東京では民間経営も多く、ご当家の地域から行ける幾つかの火葬場に空きがなく、5日後に通夜、6日後に葬儀となってしまっていた。
その背景には他に二つの問題があった。一つは「友引の日」は火葬場が休日ということと、もう一つは火葬場に二等、一等、上等、特等、特賓などの等級があり、家族の「いくらなんでも二等や一等では!」という心情も秘められていた。
大阪市内は「友引の日」に火葬場が休日することは一切なく、大阪から行った彼の驚きが尋常でなかったことが想像できるだろう。
等級についてだが、遠い昔、我が大阪の火葬場にもあったことも事実だが、今は一切なく全てが平等となっており、市外料金は別として、大阪市民の火葬料金は1万円となっている。
葬儀を終えてご出棺され、その到着先に等級があるなんて<!?>という考えの方も多い筈。そんな事情から葬儀の日程が何日も先とはあまりにも気の毒な話。それこそ二重、三重の悲劇ではないか。
文化国家の「ゆりかごから墓場まで」の言葉は、もはや泡沫や春の淡雪のように消え失せてしまったよう。世界の中の大都市である東京がこれではと残念な思いもする。
名古屋市内の火葬場も大きな問題を抱えている。火葬場へ随行される方々の人数制限があり、親戚の多いケースでは火葬場まで送れないという悲劇の現実があるからだ。
そんな社会背景の中、驚く発想が提案され「ひょっとしたら?」という構想が進んでいる。
それは、「葬儀船」や「火葬船」と呼ばれる船の考案。2000トン程度の中古のフェリーを改造し、中に葬儀の式場から火葬施設までを設置、そのまま参列者を乗せて沖合いに出航し「海洋葬」的な「散骨」まで可能というものである。
ただ言えることは、起きて欲しくないことだが、大地震などで大被害が発生した時には少しは助かるかもしれない。
阪神淡路大震災の時のことを思い出すと、今でもゾッとする問題がいっぱいあった。火葬場の一部崩壊、火葬場までの道路が不通という予想外の出来事もあったし、市民以外の火葬が出来ないという条例が邪魔になったという秘話もあった。
いつものオヤジギャグで恐縮だが「火葬」に関する「仮想」も重要なことだと結ぶことにしよう。
今日の写真は横浜港に係留されている「氷川丸」だが、かつては病院船として利用されていたこともある。