2004-03-22

特別な思い   NO 739

春らしくない冷たい風が吹き、時折に降る雨が会葬の皆さんを震えさせている。

 そんな中、来月に初曾孫さんが誕生されるのを楽しみにされていた方が「都率浄土」へと還帰された儀式が行われていた。

 故人は40年間に亘り修験者として、女人禁制で知られる「大峯山」に参詣されておられた歴史があり、山伏の装束でお柩に納められた。

 多くの会葬者が集まり始めた頃、式場に「ブオー」という「ほら貝」の音が鳴り響く。吹かれた方は脇導師をつとめられたご住職。宗教は真言宗醍醐寺派であった。

 醍醐寺は、豊臣秀吉の「醍醐の花見」という歴史で名高いが、修験の世界にもゆかり深く、今日の火葬場で扉が閉められる前、ご導師も「ほら貝」を吹かれてお見送り。言葉で表現できない独特の雰囲気が生まれていた。

 久し振りに耳にした「ほら貝」の響きだが、低音から高音まで様々な音色があり、ひとつの音楽としても認識されるべき思いを抱く。

 昨夜の御通夜、読経を終えられたご導師が下がられた際に担当スタッフが御礼に伺うと、故人の思い出話を拝聴することになり「是非、ナレーションに」というアドバイスを頂戴し、朝からシナリオを変更させた。

  式場の外に掲示してあるメモリアルボード、そのお写真の中に山伏姿のものが一枚あった。喪主をつとめられた息子さんに関係する参列者は、おそらく山伏なん てご存じないだろうと推測するが、この一枚の写真が「ほら貝」や大峯山というストーリーの環境設定につながったと考えている。

 葬儀が終了した時、葬儀委員長の謝辞があったが、この内容が素晴らしく、故人の歴史と人柄を的確な言葉で表現されたことに感銘を受け、いい方に葬儀委員長をつとめていただき故人もさぞかしご満足と感謝をされているだろうと拝察する。

 ご出棺の前、お孫さんたちに整列願い「命」が伝達されるような儀式っぽいことを行ったが、今日は特別な思いも。

 それは、故人との交流があったこともあるが、明日から私の孫が外国に行ってしまうから。

 冬はマイナス30度という酷寒の地、そんなところの大学で研究することになった娘家族。英会話の出来る夫婦はいいが、英語圏に突然引き込まれる4歳の孫のことを思うと辛いものがある。

 これから2年以上も寂しい日を過ごす爺さん婆さん、研究の成果が早く生まれて一日も早く帰国することを願っている。

 飛行機に弱い私、片道14時間の行程はとても無理。そのうえに英語という問題もある。でも、孫という存在は特別なもの。ひょっとして会いに行くかも?

 明日は、所属するライオンズクラブの式典がある。仕事の関係で例会欠席が多い不良会員だが、入会してから22年間、この日だけは出席してきた。

 式典の中で物故ライオンに対するナレーションを担当するが、その時間帯、孫が太平洋上空を飛行している・・・
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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