2004-04-11

外国語?   NO 760

時計を見ると、葬儀に出掛けなければならない時間。忘れ物がないかを確認し、出ようとした時、電話があった。

 対応している女性スタッフが困惑の表情で私を手招きしている。その視線、メモ書きしている部分に誘っている。

 そこに「ブラジル」という文字があり、そこから始まった会話を耳にしながら書かれる文字を追いかける。

 彼女は、私が葬儀に出発しなければならないことを配慮し、この長引きそうな電話を私に回さなかったのだが、メモには電話番号やホテルの名称が書き足され、ある人物の名前が登場したところで大凡の見当がついた。

 20年数年前、夫婦でブラジルに行った際、ある県人会の役員の方に大変世話になり、放送局を経営されている息子さんや銀行の役員という親戚の方の家に宿泊させていただいたことがあった。

 サンパウロに滞在した10日間の内、6泊をあちこちの豪邸でお世話になった訳だが、その後手紙による交流が始まり、帰国後しばらくして、仕事で来日された息子さん夫婦が大阪に寄られたていた。

 その時、奥さんのお腹の中には赤ちゃんが。今日の電話は、何と、その赤ちゃんだったという人物からだった。

 担当の仕事を終えてから帰社し、女性スタッフから話を聞いてみると、今、日本に来ているそうで、数日後に大阪に寄ってくれるそうだ。

 お世話になった役員の方が94歳で亡くなられたことも知ったが、各地で撮った我々の写真もあるそうで、懐かしく思い出しながらお返しに歓待しなければと考えている。

 ただ心配なのは「言葉」。今日の電話は、どうも通訳の人らしかったそう。ポルトガル語で知っているのは「オブリガード(有り難う)」「チャオ」「ポエラ」だけの私。

 ポエラとは、ブラジルでも一部の人にしか分からない言葉。それは、信じられないような大砂塵。分かり易く言うと、赤い砂の道路で対向車に遭遇すると20分ぐらい何も見えない状況になる世界。そんな思い出話に花を咲かせることが出来ればと思っている。

 さて、言葉の話題をもう一つ。火葬場からの帰路、お寺様だけをお寺にお送りすることになった。このお方、韓国から来られており、日本語が通じない。だから車内は無言の世界。

 お寺まで5分という所でお言葉が。「さと、さと」と聞こえる。「?」と恐怖感で前方を見ると、交差点の角にファミリーレストラン「さと」があった。

 そこで曲がって停車をすると、恐縮するほど丁寧にお辞儀をされ降車された。

 <「さと」で、お食事でも?>と、勝手な想像をしていた私、それが大きな誤りであることを知ることになったのは、それから10分後のこと。

 式場に残っていたスタッフ達と打ち合わせを終え、事務所に帰るために狭い道路を走行していると、前方からそのお寺様が歩いて来られる。

 つまり、お寺様は、レストラン「さと」からの道しかご存知でなく、一方通行で随分遠回りになる私の経路にご不安が生まれ、<何処へ連れて行かれるの?>という恐怖感まで与えてしまったようである。申し訳ございませんでした。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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