2004-04-03

煽てられて   NO 752

お亡くなりになる方が多い季節は冬、それについて、ある医師が次のように分析しておられた。

 「高齢者や重病患者さんは、最終的には『心臓』に左右されてしまうもの。そこで風邪やインフルエンザが大敵。その菌は湿度に弱い。暖房で部屋の空気を乾燥させることが悪影響」

 なるほどと妙な納得をして「少ない時期は?」と質問したら、「6月、5月、4月」ということだった。

<4月に入ったら葬儀が少なくなるだろう?>と勝手な判断をしていた私、そこで様々なスケジュールを組んでしまったが、今月早々から私が司会を担当しなければならない葬儀が多く、その調整に難渋している。

 そんな中、今日はホテルから5回電話があった。2回は同じホテルで弊社に何度も来られている人物。仏事に関する「しきたり」についての問い合わせで、事は簡単に解決となった。

 さて、別のホテルからが大変だった。「明日、満中陰の法要を承っているのですが、お食事だけと伺っていたのが変更になって、『それらしき』進行をとご依頼を受け、20枚ほど故人のお写真をお持ちになったのです」

 「それらしき」という発言が面白いが、これは大変に重い意味のある言葉。

 このホテル担当者によると、法要そのものはお寺で行われるとのこと。それが終わってホテルで「お斎」を兼ねたお食事。第二部となる食事だけに招待した方が20人ぐらいおられ、その方々の手前、何らかの進行をという事情があった。

 20枚の写真をビデオにして欲しいという要望、そこに適当にナレーションをという注文も飛び出したが、「適当に」という言葉が気に入らない。そんな中途半端なものを制作するのは弊社の信念にそぐわない。

  そんなことを伝えると、「失礼しました。取り消します」とおっしゃったが、彼の最も困っていることはビデオの制作時間という物理的問題。ホテル専属の映像 会社はあるが、制作費、BGM、ナレーション原稿作成、ナレーター吹き込みとなれば時間だけではなくコストが甚大。そんな内容の話を聞きながら<葬儀社っ て、下に見られているのだ?>と再認識。

 20枚の写真を編集してナレーション吹込みまで2時間というのは弊社にしか不可能な技術だろうが、故人の生い立ちや人柄、またご遺族の思いや家風の情報がなければ制作以前の問題である。

 その一時間後、彼は弊社にやって来られた。そこでちょっとだけ見せた映像を見られて固まった。

 「これが2時間で?・・・」 そこから無言の時間が流れる。 

 彼は、過去に私のセミナーを受講しており、そのえにしから頼られた訳だが、最も基本的な故人情報の取材ノートを与え、何とか間に合わせてあげることに進展。

 明日の朝、ナレーションの原稿を3本創作しなければならないが、その吹き込みは「生」と違ってアドリブが不可能。「お客様に何とかして上げたいのです。貴社にしか出来ないことだと思ったからです」 その言葉が私を動かせた。彼は、きっとお客様に喜ばれると確信している。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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