2006-03-05

没頭中  NO 1444


 今、難しいシナリオの創作中。お客様の資料を積み上げ、その中からドラマに描けそうな部分をチェックする。まずは、それらのキーワードを20ぐらい整理、そこから優先順位を決定する。

  次にBGMを思い浮かべながら原稿を打ち込む訳だが、その場面にピタッとくる音楽を発想するのも簡単ではない。前に書いたが「曲ありき」「言葉ありき」と いう作詞作曲のどちらを「先行」させるかいう「選考」も伴ってくるし、曲のイントロ、盛り上がり、エンディングなどを全部理解する必要があるし、それに よって原稿内容を変えることにもなってくる。

 また、その次第の前後シチュエーションに噛み合うように考慮することが重要で、時には会場の空気を一変させる仕掛けも入れるが、無理のないような流れの中で進める時間配分が絶対条件、退屈の心情を発生させないように故人と参列者の物語りを描く。

 お客様をステージに集中させ、いつの間にかご自身がその中の一員にという、参列者を全員キャスティングの中に組み入れてしまう構想。それは理解し易い言葉で表現すると「ワールドの構築」ということになるだろう。

 耳にされるお客様にさりげなく<!?>を与え、勝手なご想像をいただき、全く異なる結果を与えれば自然に皆さんからキャスティングに入られる。そんな仕掛けが私の仕事の冥利。音楽のスタートが3秒遅れるだけでも腹立たしくなる世界だ。

 その背景には心理学の応用があり、重要なのが音楽とオシャベリ。お別れ会や偲ぶ会では、あまり照明に動きの変化を付けるとマイナス。その部分はシンプルに考えるべきというのが結論。

 自分でシナリオを描き、自分で喋る。場面を想像しながらお客様の表情まで思い浮かべる。それが浮かんでくるようになればプロデューサーと呼ばれるレベル。「葬」の世界はブライダル以上にディレクターやプロデュース・パワーが求められる。

 時折に自分以外の司会者用にシナリオを書くが、その人物の力量と声質を知らなくては不可能。与えられた空間で求めたいシーンを創造するなら、音楽とコメントとのバランスと出力レベルに神経を遣う。だからミキサー、オペレーターの仕事が重要になる。

 書いたシナリオだが、ある部分で女性ナレーターを入れたいのでキャスティングに迷っている。求める「味」を出せる人物は限られている。単独ではいいが男性と女性の混合の場合に「格助詞」の変化も考える。そんな苦労が背景にあり「変なオジサン」たる所以かも。

 ナレーターという言葉で過日の「偲ぶ会」のことを思い出した。「追悼の詞」をされる方を紹介後、その方が自己紹介の始めに仰ったお言葉にそれが出てきていた。

「司会者から紹介の・・」ではなく、「今、ナレーターの方から紹介いただきました**でございます」だったのだから普通では考えられないこと。ここに上述の苦労の意味がある。

 単なる「会」に終わらせたくない思い、だから無宗教でも「式」の世界に神変させる。これはご体感された方々にしか分からないものだが、是非「司会者」と名乗る人達に勉強していただきたいことである。

 そうそう、忘れてはならないことがある。シナリオは、司会者の位置がお客様の前方か後方かで変わってくるもの。参列者の「視界」という理解なくして「司会」はないということになるだろう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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