2006-08-14

お盆に寄せて  NO 1596


 NHKで3名の落語家が出演する番組があった。その中のひとり「桂 文珍」さんが創作落語をされていたが、本題に入る前の「枕」が面白かったのでご紹介を。

「昔はレコードの時代、表がA面、裏がB面でしたが、時代は流れレコードが衰退。『ABの次はCD』ということに・・・」

 確かそんな内容だったが、いかにも彼らしい枕で、ある番組の本番前、「話の種に」と教えて貰った小噺を思い出していた。

 さて、大阪市内はお盆の影響で交通量が少なく静かな環境。この酷暑では人通りも少なく、打ち水代わりとなる夕立を歓迎したいような日である。

 新聞に罰当たりな記事があった。お寺の境内のお墓に納められている遺骨を盗み出し、それで「3000万円を!」という強迫事件があったそう。

 愚かな犯人が検挙され、遺骨も無事に戻ることになり関係者も安堵されただだろうが、遺骨のご本人である故人がお盆を前にさぞかし驚かれたものと拝察する。

 捜査によると犯人の家の墓も同じ境内にあったということだが、立派なお墓を狙ったとんでもない犯罪、<世も末>と、嘆かわしい思いを感じてしまった。

 ここで再度「お盆」に触れるが、迎え火は地域信仰によって様々あり、海、山、湖、墓などから自宅に案内をしてきた歴史もあるが、時代が流れ、今や都会では玄関で迎え火を焚くことが一般的になっている。

 如何にそんな時代になっても、お骨を身代金目的で盗み出しコインロッカーに入れていたとは言語道断の罰当たり。まずは「戻られてよかったですね」と手を合わそう。

 さて、知人からのメールに嬉しい報告が。高層マンションで生活をしているところから迎え火は難しい環境だが、外から戻った娘さんが「今ね、エレベーターにお婆ちゃんが一緒に乗っていたような気がしたの」とお母さんに伝えたそうだ。

 それは、ファミリーの「絆」が見事に結ばれているからこそ生まれた素晴らしい会話。それこそ「命の伝達だ」と拍手を送りたい出来事だ。

 帰省先で水の事故が多いと報じられていた。中に流された子供を救いに行ったお父さんも亡くなった悲劇もあったが、どうか事故の発生がないように願っている。

 誰も行く前に事故に遭うなんて一切考えていないもの。海、川、湖、池などは危険がいっぱい。幼い子供の怪我や事故は親の責任と考えるべき。

 学生時代の出来事だが、夕方から車3台に分乗して琵琶湖へ行った。到着したら暗かったが、空き地に駐車してすぐに浜辺に走って行き、数人がそのまま水の中に飛び込んだ。

それと同時に「馬鹿者!」と叫ぶ大声が聞こえてきた。1人のおじさんが血相を変え「全員並べ!」と我々に命じた。

 まだ水の中に入っていなかった私だが、<普通じゃない!>と感じて皆に声を掛けて呼び寄せた。

「お前達は死にたいのか?死ぬのは勝手だが親がどれほど悲しむか分かるか!こんなところで事故死をしたらせっかく与えられた命に申し訳がないだろう」

 おじさんは、地元の人。今で言うところのボランティアみたいな立場の人だったが、その説教は今でもはっきりと覚えているほど説得力があった。

おじさんが伝えたかったことは「命」の大切さ。準備運動や水の温度も確認せずに飛び込んだ無謀な行動を諌めてくださったのだが、その時に琵琶湖の怖さを教えて貰い、実際に体感して<本当だ!>と知った。

 水辺から深みに進んで行くと分かるのだが、足元、腹部、胸部それぞれの水温が異なっており、びっくりするような冷水を感じることもあった。それらが時間によって変化し、その層の冷えが心臓麻痺につながる危険性があるということだった。

 あの時に説教を受けた全員が大切なことを学べたと感謝をしている。サークルや部活の「一気飲み」なんて愚かなことも絶対に止めるべき。命を失うことにつながる強制ほど愚かで恐ろしいことはないと知りたいもの。そこでの後悔はどうにもならないのである。
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