2007-01-06

お迎えしたお客様  NO 1739


 異常なほど温暖だった正月も過ぎ、明日から大荒れの天気予報。北国では強風に大雪、太平洋側でも低気圧の発生から猛烈な風と雨が予想されるとのこと。我々の仕事にとって、最も嫌な天気の襲来である。

 こんな嵐の時は葬儀の専門式場が何より便利、参列者全員が式場の中に入れる環境が喜ばれるもの。そんなところから弊社の式場も歓迎のお声が高まっているので嬉しいことだ。

  これまでに何度も書いたが、風は人の心を騒がしくさせてしまう。故人の終焉の儀式が行われる式場というところにあって、「早く終わったらいいのに」なんて 感情が生まれるのは故人や遺族にあまりにも気の毒。それ以上に、その儀式のお手伝いに携わる我々の心情に落ち着きが失われることが恐ろしく、そんな環境は 間違いなく導師を努められるお寺さんにも伝わるものである。

 エアコン生活が当たり前になってしまった時代、そんな中で寒い暑いの環境で じっと立って参列される状況は今や普通ではない世の中になってしまっている。誰もが心の扉を開けられるような素晴らしいご法話であっても、拝聴される側の 環境の変化によって伝達力が大きく左右されるものであり、ここでも「早く終わって欲しい」という残念な思いが生じる危険性が考えられる。

  ある1時間半の葬儀を担当した。その宗教は開式から導師の引導終了までの時間が長く、ご多数の脇導師が入られると30分以上を要することになり、引導が始 まる少し前頃から参列者達に「お経は、いつまで続くの?」「焼香は、いつから始まるの?」というような疑問が生まれ、時計に目をやる人や後方を振り返る人 達も目立つようなってくる。

 そんな光景の中でじっと耐える司会者も大変、<他の宗教だったら、もう親族焼香も終わっているのに>なんて思ってしまうこともあるだろう。

  大都市では火葬場の入場時間制限が厳しいところもあり、遅れたら大変な事態となるケースも現実に起きている。そんな実態をご理解されないお寺様も多く、 「参列者が多いので」というように、お寺さんに傷をつけないようなかたちで開式時間を早めることが行われていることも少なくないようだ。

  さて、今日の夜、懸念となっていた接待を決行することになった。いつもお世話になり恐縮しているご夫婦を自宅に招待しようと行動したのだが、相手様が何を お好みかが全く把握出来ず、もっとも無難というパーセンテージでコースを設定、オードブルに関してはプロに依頼、ご飯とそれに伴う一品は妻の手料理という ことで進め、私は専らお酒のことを考慮するために行動していた。

 確実な情報は、ご主人が焼酎を好まれるということだが、麦、芋など様々な種類があるし、添加する品物、水、お湯などにもグローバルな種類があり困惑し、詳しい友人の所へへ足を運んで色々な薀蓄を教えて貰って助かった。

 予定を描いた品物が全て揃い、後は時間を待つだけだが、そこで私が気付いたのは飲み物によって異なる器の準備。滅多に出さない珍しいグラスなどを引っ張り出し、自分で洗って並べておいた。

  人とは、いつも何か抜けているもの。受付からお帰りになる後ろ姿までの流れを想像確認、それを逆から遡って受付に戻ってくる過程で<!>と気付くものが あった。自宅の3階に置いてあった多くの座布団が、本社の和室で行われたイベントで使用されており、人数分が足りないことに気付いたのである。

 これは本当に大問題、時間が迫り解決策は近所から拝借してくること。そこで妻に近所の銭湯の女将さんに頼んでと行かせた。

 何とか間に合い本番の時間、いっぱいお土産をご持参くださったご夫婦のお迎え、それから5時間半ほどお過ごしいただきお帰りになった。

 お世話になっている何十分の一のお返し程度は出来ただろうが、<こうすればよかった!>なんて反省もいっぱいある。そんな中、お見送りの際に「また呼んでね」と仰られらたお言葉が最高に嬉しかった。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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