2007-07-02

悲しいですね!  NO1906


 日付が変わってしまった。無気力になってしまう出来事があった。大切な友人の奥さんが大変な病気だと知ったから。共に苦しみ共に悲しむことになったが、何より心配なのは旦那の方。男とは本当に弱いからである。

「死 が別ち合うまで」というクリスチャンの結婚式の言葉、どちらかが先立つことは仕方がなく世の定めだが、夫を送るケースと妻を送るケースの比率は85対15 と統計発表されており、送ってからの平均寿命は男性5年に女性20年という数字。やはり子供を産む母という存在は強いとなるだろう。

「今、想像以上に医学は進化しているよ」と慰め励まし、自身の手術体験を話し、過去に「サンサンてるよ」さんから拝聴した「玉葱を食べなさい」という血液浄化についてアドバイスをしてきた。

 また、一方で、畏敬の存在であるお方がひどい痛みに苦しんでおられることを知り、<どうか和らぎますように!>と併せて手を合わせた。

 さて、昨号で書いた葬儀を担当申し上げた。開式前、喪主さんご夫妻を伴ってご寺院控え室へご挨拶、それが終わって進行の打ち合わせ。「ご親戚が70名です」とお知らせするとご導師が驚かれ、そこに「ナレーションを」と申し上げると「時間、大丈夫か?」とご心配をされた。

 その背景には、ある事情があった。この斎場、とんでもない制約があり、司会台の上に司会者に対する説明書きが置かれ、そこに「定刻10分前に出棺されるように」とあったからだ。

  葬儀は、それぞれの異なりがいっぱいあるもの。宗教、ご遺族親族の人数や参列者の人数、それによって時間配分が変化するは当然のこと。それを一律50分間 ですべてを終えろという役所の姿勢は信じられない話。もしもこれが大阪市内だったら、私は大阪市長相手に告訴するだろうし、宗教者の組織が問題提起されな いのが不思議でならない思いを抱いてしまった。

 同じ宗教でも地方によって式次第の時間配分に異なりがあるが、大阪の葬儀は導師の重要な 儀式を終えてから遺族親族、代表者、会葬者の順で焼香が進められる。宗教によっては重要な儀式の終了まで30分近くも要するケースもあり、それから弔辞な んてことになったら絶対に50分では無理。弔辞が3名あったら焼香もお別れもなしにご出棺という問題も生じるではないか。

 ということ は、宗教に対する制限、弔事は禁止、弔電の代読も少なくから始まり、親族の人数や会葬者の人数まで制限されてしまうことになり、飛躍するかもしれないが、 ふと<国民の権利は?故人には人権はないの?憲法違反では?>との思いが過ぎり、尊厳という言葉の欠如した「ある」冷たい響きの言葉を思い浮かべた今日 だった。

「ある」については敢えて伏せさせていただくが、死を迎えたら「物」という考え方で何より寂しく悲しい言葉。まあ、地元の業者さん達の組合が納得されているようなので仕方がないが、この市に居住される皆さんがお気の毒でならない思いがする。

  今日のご導師は、あたたかくお気遣いくださり、「開式の辞だけど、入場時で歩いている時でも構わないよ」とまでご配慮くださった。さすがにそれだけはご遠 慮、ご着席の時点で進めることにしたが、ご家族からのメッセージ代読やナレーションを組み込ませていただき、何とか50分でご出棺という運びになって安堵 した。

 そうそう、開式1時間前に嬉しい出来事があった。弊社がその斎場で担当していることを耳にされ、わざわざお越しくださったお寺様がおられ、この斎場独自の方式を細部に亘ってご教導くださったからである。

「こ こ、おかしいでしょう?間違っている」というお考えも拝聴したが、どこかの国の「ゆりかごから墓場まで」という文化国家のスローガンがあっても、我が国の 役人は何より「悲しみ」に対する理解がなく、それこそ無慈悲な行政が行われ、それらは年金問題が顕著に物語っているような気がする。
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