2005-06-23

塾の日  NO 1194


 ご葬儀が多く重なっている。朝からスタッフはパニック状態。そんな中、四国、九州、東京、名古屋の順に塾生達が来社した。

 相変わらず咽喉の調子がおかしい。どうも熱っぽくなってきて痛みまで出てきた。不謹慎だがキンカンの咽喉飴を口に入れたまま講義、DVD、ビデオ、シンセサイザーの生演奏を入れながら4時間を過ごして貰った。

 そこで日帰りされる方々を見送り、第二部の懇親会の準備が始まる。

料理会社の社長さんをはじめ、スタッフの皆さんのご協力で思わぬスピードでセッティング。ビデオ映像での勉強を交えながら11時前まで話し合い<協会のメンバー達と似てきた>と思っていた。

  そんな頃、事務所内はいよいよ大変な状況。また遠方のお客様からご葬儀の依頼が入っていた。最近、不思議と遠方のお客様が多いが、北と南に別れているとこ ろへ西からお電話を頂戴したから大変。明日は移動の時間が限られてくるので困っているし、組まれていたキャスティングを大幅に変更しなければならなくなっ た。

 さて、塾生の皆さんだが、会食中に出てくる質問の内容のレベルが高い。やはりそれぞれがプロと呼ばれる人達、半端な答えじゃ返せない。

「著書がいっぱいある方の葬儀で困りました。著作をお預かりしてからどのように表現するべきか迷ったのです。」

 葬儀の始まる直前に、ご遺族から著書を託された司会者は大変だろう。著作の歴史を物語っても活きてこないのは当然。こんな場合の私なりのテクニックを提案したら即座に解決。その手法は随分昔に九州で行われた合同葬で私が体験していたから。

「なるほど!お見事」で納得に至ったが、当時のことが懐かしく思い出されてきた。

 その方も多くの著書があり、本葬儀の前日の打ち合わせで十数冊をお預かり、ホテルに持ち帰りそれぞれを斜め読みしていたが、その時に<これだ!>と思い付いたのがこの手法。

 本番が終わってから「全部を読まれたのですね?」と会社の方や喪主様のお言葉。故人が最もおっしゃりたい部分を偶然に引き当てていたわけである。

 それは、正直言って偶然ではない。自分自身も愚書を表した過去があり、それが大きなヒントになった背景があったから。

 数名がナレーションを聞かせてくれた。また、私が書いた原稿を映像に合わせて5分ジャストでという試みも行ったが、我々プロの司会者でも絶対に勝てない究極の世界があることを映像で体感させたことが衝撃だったよう。

それは今日出席の塾生だけが知り得た世界で「最終的に、ここに行き着くのでは?」と問い掛けたら全員が納得され、話術という単なる「技術」に走る恐ろしさを学ばれたと信じている。

 それぞれが今日の予定を終え、タクシーでホテルに向かったが、その後ろ姿を見送るスタッフと共に寂しさを覚える。

彼らは深夜そして朝食時にも「お葬式」の話題ばかりとなるだろう。「前回、7時の朝食で全員がすぐに出発できる姿に感動しました。私なんて、お化粧もしないで恥ずかしかったです」と東京の若い女性の感想があったが、その彼女が体験した葬儀の話題が非常に勉強になった。

 日常に気付かず使用している業界用語、そんな中に取り返しのつかない危険性が潜んでいる体験話。それは、私の心の扉をもう一回開け直してくれた貴重な学び。皆が先生、皆が生徒の有意義な時間であった。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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