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2004-11-02

ひきだし?  NO 962


 『秋の深まりは冷気の忍び寄りであることを、地震や台風の被災地の苦難をしのびながら思う。大気の冷え込みに植物も冬支度を始める。紅葉は、冬の静けさの前のつかの間の華やぎだ』

 いい文章、これは残念ながら私の作ではなく、10月31日付け毎日新聞の「余禄」の冒頭の言葉。そこから続いてイチョウの不思議さについて書かれていた。

 司会を学んできた歴史にあって、新聞、雑誌などは言葉の宝庫。<これ、いい!>と思って抜粋したものが頭の中に山ほど残っている。

 そんな引き出しが錆び付いて開け難くなってきた。どうやら年齢の影響みたい。60歳を迎えたら司会の現役は引退し、どうしてもとおっしゃる方があれば「陰アナ」でも?

 もうすぐコンサートの司会を担当しなければならない。イントロや曲の合間に司会者らしい?演出言葉も考えなければ、と思いながら古ぼけた頭の中の引き出しを開けようとするが薄らいでしまっている。

 そんな時、ふと思い出したのが「はるかな地平線の彼方に、遠い記憶のように過ぎ去り、時を越えて、そっとまどろむような夢のひとときが訪れますよう」というフレーズ。

 ご存じのお方もあろうが、これは日本航空のジェット・ストリームの「城 達也」さんのナレーション。成田からフランクフルトへ飛んだファーストクラスの中で耳にしたイメージを思い出す。確か、ミスター・ロンリーがバックに流れていた筈だ。

 不思議なもの、そんなことを思い出したら、昔に創作したフレーズが次々に浮かび出した。どうやら引き出しが開いたようでホッとした。

 「よき人との出会い、感動を誘う音楽との出会いは、人生をさらに豊かにしてくれ幸せにしてくれます」

 「いつも心を和ませてくれる思い出の音楽、それは、過ぎ去って行った大切な人生の一瞬一瞬を思い出させてくれる」

 「一曲一曲の旋律は、詩や小説の極め付けの一言一句と同じではないでしょうか」

 「夜のしじまにいつまでも余韻を残すように語り掛けてくるピアノの囁き。作曲者の繊細微妙な心まで映し出すハーモニー。ピアノが全身全霊を込めて歌い上げる情景。そんな時、ピアノは豪華なドレスに身を包んだよう光り輝き、幸せそうな表情を見せてくれます」

 詩や小説のたった一つの言葉がドラマの真実を語り、心の奥底まで照らし出すほど大きな感動を生み出すこともあります。その感動によって心の疲れが洗い出され、心地よい気分になるという経験を何方もお持ちではないでしょうか?

 音楽って、いいですね? 民謡、ラテン、映画音楽と3日間のコンサート。ぼちぼちシナリオづくりをしなければならない次期が来た。
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