2014-05-08

習わし  NO 3630


夕方、いつもの銭湯へ行った。常連客の中に立派な入れ墨をした人達が数人いるが、今日もそんな人達が入っていた。

私が杖を手に歩いていることを知っているみたいで、浴室へ入る際に扉を開けて優先させてくれたので有り難うと伝えた。

知覚障害で冷えた感覚の足を温めの湯に浸すと至福のひとときとなる。手にしていたタオルを見ると指宿の「白水館」の物。もう?本用意していた物は湯郷温泉にある町営の「鷺温泉」のものだった。

BSテレビで将棋の名人戦第三局を中継していた。会場となっていたのは佐賀県「武雄温泉」の東洋館だった。この地にご仏縁に結ばれる人物がおり、熊本県で担当させていただいた合同葬の際に手伝いに来てくれ、帰路に武雄温泉駅まで送ったことがある。

彼は僧侶になるための修行をしていたが、性格の素晴らしさから立派な宗教者になると期待しており、存命中に一度は武雄温泉にも立ち寄りたいと思っている。

全国各地に友人や知人が在住していることが私の人生の財産とも言える。それぞれの地に思い出があり瞬時に記憶のページが蘇える。北海道から九州まであちこちに講演でも呼んでいただいた。その際にその地で学んだことも少なくなかった。

葬儀に関する「しきたり」は全国様々だが、悲しみは何処でも同じである。だからこそ全国各地から招聘されたと思っている。

習俗や「しきたり」は、時に宗教より強く土着しているケースもある。人が決めたことなら人が是正することも可能なのに「昔からの習わし」と続いている悪習もある。そんな中の一つに信じられないことがあったので紹介をしよう。

「この地域はね、雪の降る時期に葬儀となると大変でね。みんな春まで生きていて欲しいと願っているのです」

そ れは、柩を担ぐ家族や親戚の人達の装束に関する問題で、素足で草鞋という慣習があったからだ。積雪の中をそんな履物で歩くだけでも「霜焼け」になるではな いか。全国的に葬儀に関する「習わし」には日頃にしないことを行うみたいで、日常的ではなく非日常的ということで考えられたものと想像している。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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