2005-07-27
環境の変化から? NO 1223
台風一過の関東に猛暑、体温を超える気温となれば自然の暴力みたいなもの。孫達が暮らす地球の将来が心配になる。
振り返ってみれば、私が普通自動車の運転免許を取得した当時、大半の車にエアコンの設備はなくクーラーのある家さえ限られていた。
それが各部屋にエアコンのある時代になり、エアコンのない車なんて絶対に売れない社会となっている。
社会、環境、生活が変わると不変の世界までも影響が出るもの。しきたりや慣習さえも変わってしまうのも歴史が物語るように世の常、ふと協会のコラムのタイトルである「有為転変」の言葉を思い浮かべた。
今夏を迎えてから行われた葬儀で対照的な出来事があったので紹介を。
どちらもお寺の本堂を式場とし、それらは通夜での光景だった。
一方の本堂は扉を開けたまましか進行不可能な条件、エアコンの効力が全く期待出来ない環境。遺族も弔問者も気の毒な状況だった。約30分のご読経の間に全員の焼香を済ませたが、弔問者の大半が暑さに耐えられないようで帰られてしまった。
そこから始まったお説教、時間は20分ほどだったが、数人の方が体調を崩されて別室に行かれた。
さて、もう一方のお寺の本堂だが、導師が入場された際、弔問者の方々にお声を掛けられた。
「暑 い中をご弔問、ご苦労様です。エアコンは入っていますが上着はご自由にお取りください。それから気を付けていただきたいのはお帰りの際のことです。熱射病 というものは部屋の気温と外の気温の差が激しいことも条件となります。水分補給も重要だそうです。葬儀屋さん、私は不要ですが、皆さんには読経中でもお茶 を出して結構ですから」
こんな発言をされたお寺様は初めてで驚いたが、接待担当スタッフが活躍したのは言うまでもない。
ご退出されてから控え室に参上、弔問者の皆さんが喜ばれていた様子をお伝えしたが、そのご住職、涼しいお顔で次のようにおっしゃった。
「こんなに暑い時期は苦行じゃな。『行』は我々だけでよい。遺族や弔問者に求めるのは酷なこと。それで体調を崩されたら故人に申し訳がない。まあ、我々宗教者もサービス業から学ぶことも必要じゃ」
良い悪いは皆さんの判断にお任せするが、こんなお寺様もおられる。最近、法要が始まる前に正座について触れられる宗教者も増えた。
「お経が始まって3分経ったら足を崩してもよろしい。但し、途中で『お念仏』があるのでその時はすぐに正座をするように。そしてお経に入ったら3分間で楽にしなさい」
生活環境から正座に耐えられない人が増えている。また、足を痛めている人も多い。葬儀も確実に変化しつつあるこの頃である。