最新 最古
2002-03-02

中止された「生前葬」

著名な芸能人が生前葬をされ、大きな話題になってから久しいが、その影響で一般の方が生前葬を行われたといういうケースが、全国からの情報として入っていた。
 ある時、「私の生前葬を頼みたい」というお電話を頂戴した。詳しくお聞きすると、数社の葬儀社やあちこちのホテルに電話をされ、何かよいアイデアがあるかの確認をされていることが分かった。
「弔辞」「弔電」「献花」「本日の主役」というようなお言葉を耳にされたようで、「弊社の場合は、どんな企画が出来るか知りたい」というのである。

 そんな時、こんなお客様に簡単に対応されるホテルの「誤ったホスピタリティ」のことを思い出す。「お客様のご満足のために」「お客様のおっしゃる通りに」という、そんなサービス提供が、とんでもない不満足につながることを知っていただきところだ。

「笑われることはされない方が」。それが私の対応だった。激情されるかも知れないとの不安があったが、急に言葉遣いが変わり、「それ、興味あるお言葉です。そんなことを言われた葬儀社、ホテルは初めてです。電話という訳には参りませんのでお会いしていただけませんか?」
 そんなやり取りから数日後、ご本人が恐縮そうな姿勢で来社された。
手土産を持参され、鄭重な言葉で「是非、あなたに生前葬を依頼したい」と切り出してこられる。これは説得に時間を費やすのも仕方がないと覚悟し、ゆっくりと私の考え方を話すことにした。
「芸 能人は笑われません。笑われるのもお仕事です。しかし一般人が行われますと嘲笑されるだけです。それは<生前葬>という言葉表現が悪いのです。だから弔辞 や弔電という問題につながってしまうのです。そんなことをされると<おふざけ>になります。失礼ですが人生の黄昏時期に行うことではありません。あなたが 求めておられることは二つ。一つは自分自身の葬儀が見たい。もう一つはこれまでお世話になられた方々への感謝を表したいということでは?」
「・・・・・・・・・?」              
明日に続きます
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net