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2002-04-14

対照的な体験から

最近、毎日のように取材の申し込みが入ってきます。その大半は「興味本位」であるようで、弊社の広報担当窓口で、ご鄭重にご辞退申し上げております。
 
さて、この半月の間に、数本のテレビ取材申し込みがありましたが、その中の2件が対照的なほど分かり易いケースとなりますので報告いたします。
 
一本は、全国的に名高い民放の人気番組。最初の電話でのオファーの時、先方のご要望を伺っていると、興味本位的なイメージを描いてしまい「お断り」的な発言として、次のようなことを申し上げ、やがてやり取りが始まりました。

「ディレクターさんの勝手な思いでシナリオを構成され、その中の出演者として取材されるのは困ります。葬儀というものを<正座>してお考えいただけませんか?」

 これは、過日の「独り言」で表記いたしましたように、全国で1日に2700名様もの葬儀が行われている現実を伝えるイントロの言葉でした。

「高級葬儀さんのホテル葬は別格だという情報を入手しています。社長様にご出演を願えなければ、実際のビデオを拝借させていただく訳には参りませんか」

 収録ビデオ、それは、数百はあるだろうが、ご遺族や参列者、また、宗教者の方の存在もあり、そんなに易々と貸し出し出来るものではない。

「では、どうしたらご協力をいただけるのでしょうか?」
「番組の制作予算に限りがあるでしょうが、大阪まで来られませんか?」
「参上させていただきたいのは山々なのですが、予算がちょっと厳しいところでして」
「それでは、無理ですね。来阪されれば100パーセント、シナリオ構成が変わる。それだけのことはご体感いただけますのに、仕方がありませんね?」
「・・・・・・・。参ります。明日、大阪へ、御社へ参上いたします」

次の日、彼は、本当に来社された。そして、ビデオ映像による私の世界をご体感いただいた」

「感動です。こんな世界があったとは初めて見ました。電話でおっしゃられたことが、よく解りました」
 そう、感想を述べてくれた彼の目が「うるうる」していた。なかなかに感性あふれる好青年であった。
 
そんな彼の人柄に応え、東京での生出演はお断り申し上げたが、お客様に抵抗のないダイジェストビデオを貸し出すことにした。
 
もう一方は、天下のNHKさんの看板番組「クローズアップ 現代」であった。葬儀に於ける社会ニーズの変革をテーマとされるそうで、オファーが入った時点には凡その構成が組まれていた。

弊社に関する取材要望は、ホテル葬に関することで、上述と同じように「ビデオの貸し出し希望」から、ホテル社葬が行なわれた後の反省会、つまり、ホテルスタッフと弊社スタッフ会議の模様を撮影されたいとおっしゃられた。

担当された記者さんはお若い女性の方で、しっかりとされたイメージを感じたが、すべてがNHKさん側のスケジュールに合わされてしまっており、何度かの電話のやりとりから、思うところをしたため、文章でやんわりとお断りイメージを伝えることにさせていただいた。

これは、決して、彼女に対しての行為ではなく、NHKさんの「クローズアップ 現代」という、社会的影響力の大きい番組に対する問題提議としての思いを託したものである。
 
本日、彼女から電話を頂戴した。今回の放送では「ホテル」に関する部分は割愛する構成となったそうで、葬祭学校などを中心として放送されることになりました。
 
社 会ニーズの大きな変化、それは、無宗教形式やホテル葬が潮流のように、我々葬祭業者と宗教者に対するお客様の抵抗感、不信感から生まれてきており、この部 分の欠落する「クローズアップ 現代」、葬儀の世界だけは、本質の把握が出来ない残念な放映となってしまいそうな気がしている。
 
放送日は、今月の22日(月曜日)です。この「独り言」をご笑覧いただいてご覧になられると、また、違ったご観点からの印象につながるかも知れません。

・・・・・・・・・NHKさん、ごめんなさい・・私はキャスターのファンでもあります・・・・
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