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2003-01-25

知らない曲   NO 324

故人がお好きだった曲を流して欲しいという要望が増えている。

 カラオケが流行した頃からこの傾向が強まり、今後にますますニーズが高まっていくだろうが、中には、ご自身が歌われたテープが登場することもあり、式場空間に追憶の雰囲気が醸し出されるところから歓迎したい。

 しかし、式場空間をぶち壊すような曲はご遠慮いただきたいもの。
それでも「どうしても」という要望があれば、司会のトークで抵抗感を和らげる対応をしている。

 これまでに何度か書いたが、私のブレーンの中に、曲名を耳にしただけで瞬間にレクイエムに編曲して、シンセサイザーで見事に演奏してくれる女性が存在している。

 彼女とは、仕事で全国へご一緒したが、プロデューサーとして、また司会者として、何より安心感を抱ける方の存在は貴重で素晴らしいもの。これから彼女の活躍の場が広がっていくものと確信している

 今日は、その彼女に救われることになった。

 明日に行われる女性の葬儀。故人がいつもカラオケで歌っておられたのは、私やスタッフがまったく知らない曲。知り合いのレコードショップで訊ねてみたら、「随分昔に廃盤。そんなもの、どうするのですか」と言われた。

 カラオケが存在するのだから、<そこから録音を>とも考えたが、違法なうえに旋律がなく伴奏だけ。これではどうにもならない。

 そこで、彼女に助けを求めて電話を掛けた。

 彼女は、「私も知らない曲ですが、何とか楽譜を探してみます。でも、こんな古い曲、びっくりですね」と驚かれていたが、楽譜さえあれば何とかなるというのが私の驚き。

 今回の葬儀で、彼女の生演奏を聞かせていただくことは出来ないが、来社された彼女は、自身で演奏されたカセットテープをわざわざ届けにきてくれた。

 スケジュールに追われ、お茶を出すことも出来ずに申し訳なかったが、早速、スタッフと私の隠れ家で拝聴した。

 旋律の単純な曲であるが、見事に哀調イメージが生まれている。このイメージを心に、今晩、ナレーションを創作しなければならない。

 そして、式次第の中、どの部分で活用するべきかも考えよう。
せっかく素晴らしいプレゼントをくださったのだから「生きる」ように使いたいもの。お寺さんとの打ち合わせが重要だ。

 私が生まれる以前の曲、いかにも日本的演歌調ではある。
この曲を歌っておられたお婆ちゃんのイメージが浮かんでくる。

 故人へのこんなプレゼントは、きっと、悲しみのご遺族の「お心残り解決」のひとつにつながってくれるものと信じている。
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