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2003-02-20

ホテルの部屋で  NO 349

先月の新聞に「とんでもない乗客」という記事があった。重たい手荷物を客室乗務員が持ち上げられなかったところ、「こんな物を持てないなら乗務するな」と暴力を振るったというのだ。

 乗務員も災難だが、世の中には、些細なことに大きな怒りをぶつける人もいる。タクシーの運転手さんの話を伺うと、絶対に私なら務まらないというような出来事がいっぱいある。

 これらは、最近のホテルの利用客にも多いようで、粗探しのようにクレームを付け、ひとこと言葉を返せば「責任者を呼べ」となり、一流のホテルでも、その対応にかなりの神経を遣っているようだ。

 ある精神心理学の専門家が、こんなタイプの人は、ある種の神経的症状の表れで、所謂「病」であり、その快感を求める行動を起こしている背景には、自身がそんな責められる体験をしていることが多いと言う。

 こんなお客様の相手をするのは大変。本人が「病」とは気付かないのだから始末が悪い。人格とは、怒りが生まれた時にこそすべてが曝け出されるもの。その結果に人物評価が成されるもの。人は、毎日が「修行」と考えれば成長出来るかも知れない。

 ホテルへのクレームで思い出したが、過去ログ「NO 76~79」にあるように、私は、東京のホテルで大変な体験をしたことがある。もしも、これが上述のような人に遭遇していれば、それこそとんでもない事件になっていただろう。

 「叱りつけてやった」「怒ってやった」「謝罪をさせた」「責任者を呼びつけてやった」

 そんなことを自慢している人がいるが、それを聞いている人が「この人は、何という人だ」と、心の中で蔑んでいることだろうし、その攻撃を受けている当事者だったら、もっと蔑まれているかも知れない。

 「耐えた」「我慢した」「腹が立ったが抑えた」「立場が変われば」「明日は我が身かも」

 そんなことなら大いに自慢しようではないか。それからすると、私のホテル事件は自慢話としてのネタになる。

聞きつけた新聞記者が記事にするのはご遠慮願ったが、この独り言に堂々としたためることが出来たのだから、私の人生の面白い出来事の1ページになったの確かで、恐怖感と水難(湯難)を味わったが、幸いにして負傷することがなかったのだから感謝をしよう。

考えてみれば、私は、スイートルームでの災難が多い。ルームキーのカードが不調だったこともあるし、蛇口が錆びついて出が悪く、湯船に入れるまで25分も要したこともある。

これらは、すべてホテル側や先方さんが用意をしてくれたケース。やはり、無償のサービス提供を受けるのは鬼門のようだ。それに、私風情にスイートが不相応と教えてくれているのかも知れない。

今、この原稿をホテルで打ち込んでいるが、前回宿泊時には目覚まし時計が故障。今日はテレビのリモコンが機能せず、どうやらどれかのボタンの接触不良が原因のようだ。

 私は、チェックアウトに際しても、こんなクレームは言ったことがない。こんなことはホテルサービスのマニュアル以前の問題だからである。スタッフが素人さんに指摘されること、その羞恥に衝撃を感じる人が存在するホテルは質がいい。

 時計を見れば、23時58分。急いでエンターボタンを押そう。 あっ、日付が変わってしまった。
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