最新 最古
2003-06-01

小遣い稼ぎ?    NO 447

弊社は変わった会社である。なぜなら社長である私が葬儀をビジネスとして重視していないからだ。

 葬儀は「天職」で「究極の葬祭サービス」という哲学を抱いた時、そこから経営方針が思わぬ方向へ進むことになってしまった。

 その背景には趣味である音楽と専門的に学んだ司会の技術があり、それらが葬祭業で重視される時代の到来を予測したが、それを先に認識したのは葬祭業界ではなくホテル業界であったのだから面白いし、その信念がビジネスとして成り立つことになったのは皮肉な現実。

 さて、先月末に掛かってきた電話で、私の嫌いなやりとりがあったので紹介する。

 「今、ご遺体を搬送しているのです。遺族から何処か推薦できる葬儀社を紹介して欲しいと言われているのですが、御社はいかがでしょうか?」 

 電話に出たスタッフが嫌な表情を見せる。相手は遠方の他府県の葬儀社さん。どうやら高速道路のサービスエリアで電話をされているようで、焦る気持ちが伝わってくる。

 「また後で電話を入れます」

 やはりトイレ休憩だったようで、同乗された遺族が戻られたところで電話を切られた。

 それから30分ほどして、再度電話があった。今度はガソリンスタンドらしく、少し時間の余裕があるように現実的な要求を切り出してこられた。

 「御社は、紹介料を幾らくれるのですか?」

 そこからの会話で、その人物が大阪の数社の葬儀社に交渉している事実も知ることになった。

 対応していたスタッフがメモを渡しながら私に視線を送る。私は瞬時に「ペケ」サイン。

 「誠に恐れ入りますが、弊社は同業者さんからの紹介は一切受けておりませんし、紹介料なんて発想は微塵もございません。お客様やお寺様からの直接のご紹介なら承りますが、それ以外は弊社の理念ですので悪しからず」

 大阪でご逝去され、他府県のご自宅までの搬送を担当することもあるが、それは陸運局認可の料金規定があり、お送りするところまでが仕事と割り切り、信頼する寝台自動車専門業者に依頼をしている。

 紹介料を求めて業者探しをされる行為、それは、その会社の経営者の経営姿勢で行われている場合と運転者自身の小遣い稼ぎで行われている場合とがあるが、どちらも遺族にとってマイナスとなるのは確実。

  全国の葬儀社さん、弊社は上述のように、一切の業者依頼を受けませんのでご理解ください。しかし、弊社がお送りする場合、お客様のご要望で業者さん探しを する場合があります。その時は厳選させていただきますが、紹介料なんて請求いたしませんのでよろしくお願い申し上げます。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net