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2003-08-03

磁 力   NO 505

過日、長野県の高速道路でバスジャック事件があった。また、一方で、広島の原爆記念公園で折鶴が放火された。どちらも分別ある筈の青年の犯行だが、人的被害者がなかったことは幸いである。

 「何でこんなことが?」「考えられない」「教育の歪だ」

 テレビに登場するコメンテーター達に、そんな発言が多い。

 振り返ってみればニューヨークの航空機テロ、また、イラク、イスラエル。ロシアで多い自爆テロなど、一般社会での常識論では計り知れない何かが起きているとも考えられる。

 「信じられない」「マジで?」「嘘っ?」

 そんな若い女性達の言葉を思い出すが、今、誰がいつ災難に遭遇するか分からないほど、人間社会は大きく傾いて言えるだろう。

 日本の社会にあって、忘れられつつ言葉がある。

 「罰が当たるよ」「ご先祖様に申し訳がない」「他人様に迷惑を掛けたらダメ」「お天道様がお見通し」「親兄弟が悲しむことをするな」

 冠婚葬祭の簡略化が進み、ブライダルの媒酌人なんて希少価値という言葉が飛び交い、葬儀の世界でも「無宗教」を跳び越して「無葬」という形式要望まで生まれている。

 「無葬」とは葬儀そのものを行わないこと。つまり、自宅や病院から何もせずに火葬場へ直行するケースである。

 これらは日本の社会での「儒教」の稀薄。

手を合わせるという仏教の感謝の姿は美しい。

 こられが欠如した教育の歪、それは確かにあるだろう。小学校での学級崩壊や不登校児だけではなく、先生の不登校という実数が2500人を超えているというのも驚き。

 歴史が物語るように、人を変えるのは「宗教」と「戦争」だが、いつの世にも愚かな教祖と独裁者の存在は困ったもの。神秘な宇宙の存在に天文学の世界を紐解くと、きっとちっぽけな地球上の争いの愚かさに気付く筈。

 昔、生命がなかった頃、地球は、海と大地と大気しかなかったそうで、そこからすべての生命が生まれて来たことになる。

人間の身体を構成しているのは「星の欠片」という説がある。血液の水分を蒸発させると様々な元素が分析される。

 そのひとつの元素に鉄分があり、磁石を近づけると吸い寄せられる。

 言葉というものを与えられた人間社会。そこで動物以下の行為は情けない。教祖も独裁者にも磁力のようなパワーがあるが、他人の悲しみを吸い寄せる元素の理解なくしては、社会では絶対に迷惑な存在であると言えるだろう。
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