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2003-07-30

問題提起     NO 501

弊社が加盟する日本トータライフ協会。そのHP内にあるコラムのタイトルは「有為転変」。世の中の移り変わりの激しさと儚さを説いた仏教に関わりある言葉である。

 政治、経済、社会、地球環境など、日々に変化してくる生活の中で様々な改革が試みられていることもあるが、本義を外れてしまったらすべてがお終い。今日は、我々の葬祭業に関する低次元な問題を提起申し上げる。

 コンビニで有名なローソンが関係するビジネスに「マイロード」という分野がある。会員を募って「葬儀を安く出来る」ということを謳い文句にしたビジネスである。

 葬儀の申し込みや支払いをコンビニでということだろうが、人生の大切な終焉の儀式をコンビニに託する人がどれだけ存在しているのだろうか?

 マイロードは、積極的な宣伝を繰り返し、我々葬祭業者に加盟店を募ったが、藁をもすがるというような心情ではないだろうが、自身の仕事に誇りのない一部の業者さん達が入会したようだ。

 「安かったらいいの」 そんなお客様ならご満足だろうが、弊社は懇願されても絶対に加盟しない。なぜなら、日本トータライフ協会で共有する理念と180度違うからだ。

 弊社に葬儀の依頼をされるお客様は、真剣に弊社を選んでくださる方々。その背景には遺族の立場で故人を大切に考えておられるから。そんな方々へのホスピタリティーサービスが弊社の理念。そこに「思い出を形見に」という社員の心が生きてくる。

 さて、そんなマイロードだが、今度はとんでもない営業戦略を打ち出した。なんと「お寺さん」を取り込むこと。「いい檀家ドット混む」というシステムを構築され、マイロードの会員に宗教者を紹介するというビジネス。

 パンフの中の文字には「新たな収入源を確保することが可能になります」とあり、お布施の金額を「施行料」という言葉で表現し、料金が表記され、「本部納入手数料は、施行1件あたり10パーセント(税別)」と記されてある。

 新しいビジネスシステムを構築し、関連する周囲を下請け化するビジネスが流行しているが、これらに共通することは構築した側が利益を得ること。葬儀社だけではなく宗教者までを下請けとして考える姿勢には衝撃を受けた。

 世の中には素晴らしい宗教者もおられるが、こんな組織の下請けに加盟されるような宗教者に、導師をつとめられたら故人も気の毒なことだろう。

 檀家離れが強い世の中、それらは真摯に受け止めなければならないだろうが、宗教者とされての誇りを捨てられた時、本義を外れたことになることだけは忘れないでいただきたいもの。

 このお寺さん向けの営業パンフには、ゴルフ会員権ではないが、「第一次募集 回答書」というものが同封されていた。そして、危機感を煽るように、下部に次の文が記されていた。 

※「 同一エリア内での加盟寺院さまの重複を避けるため、加盟を希望される寺院様が多数となった場合には、原則として先着順となります。あらかじめご了承ください 」

 私は、多くの宗教者とのえにしをお結びいただいている。そんなお寺さん達から「何と無礼な」「故人と遺族が気の毒だぞ」と言われ、何とかしろということでこの「独り言」に書いた。

 『嘆かわし哉』と思っているが、社会が変化してきていることも事実であろう。世の中は自由社会。こんな問題提起も憲法で守られた範疇。

 弊社は、他社との「競争」に興味はない。お客様に選ばれる「独創」を指針しているからである。
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