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2003-08-23

猛暑の中で     NO 524

35度を超えた大阪、昨日は、本当に暑い日だった。

 昼頃、男性の担当責任者が女性スタッフに向かって、「さあ、一緒に飾り付けに行きましょう」と誘っている。

 「えっ、こんな暑い中、可愛い女性を酷使するのですか?」

 そんな冗談染みたやりとりがあって、2人の女性が一緒に飛び出して行った。

 葬儀社のスタッフは、皆さんがご想像される以上にハードな業務。お寺やご自宅、そして地域の会館が式場となる場合は、大変。

 「キツイよ」「分かっています」と納得の上で入社しても、すぐに「こんなハードな世界だとは思いませんでした」との嘆きが聞かれる。

 そこで事務所内でのデスクワークが歓迎されそうだが、ここでの電話の応対が、また大変。同じ汗でも「冷汗」と「緊張」の連続。

どんな用件で掛かって来るか分からないのが葬祭業。なにしろ、お客様なら悲嘆の心境からのパニックが常識。すべてに敏感で怒りっぽくなっている悲劇の主人公的ご胸中。この理解なくして電話の担当は不可能である。

 そんな中、掛かってきた電話に女性スタッフが対応している。耳にする単語で、それが貸衣装のご注文であることがすぐに分かった。

 しかし、その電話が5分ぐらいも続いている。どうやら衣装を召されるご本人が、ご自分のサイズが分からず、電話口の横におられる奥様と確認しながら伝えてこられる模様。

 「確認申し上げます。伺いましたサイズで、ダブルの礼服でよろしゅうございますね。かしこまりました。有り難うございました」で電話が終わった。

 その彼女、ふと、次のようなことをつぶやきながら、貸衣装の会社に電話を入れた。

 「略礼服、3種ある予算の一番高いのを選ばれるなんて? 洋服の青山だったら買えるかも知れないのに?」

 暑い時期の葬儀は、女性も男性もご自分の礼服を着用されないことも多い。「汗」という大敵が、クリーニングで解決出来ない危険性があるからだ。

 「私、この夏用の喪服を持ってきているのですが、着たくないの。これを預けるから、同じサイズの貸衣装を探してきてください」

 そう、女性の方に頼まれたこともあったが、とにかく暑い時期の葬儀は参列者も大変。

 最も涼しいのは、ドライアイスの入った柩の中であることだけは確かである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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