最新 最古
2003-08-08

恐怖の体験  後編    NO 509

「ここは、みんな飛ばしている場所で、非常に危険なところです。いつ二次事故が発生するか分かりません。とにかくガードレールの外で待機して下さい」

 そんな指導に素直に従う我等、多湿高温の「草むら」という環境なんてどうでもよい。ここにいる4人の当事者の命も大切だが、今は、大事故の引き金になることを避けたいばかり。2人の警察官の迅速な行動に頭が下がる。

 ここに来るまでに長いトンネルが2ヶ所あるし、この少し先にもトンネルがある。そこを過ぎれば関門海峡大橋。そんなところで停車することにならなかった幸運にも感謝するが、少し前に体験したゲリラ雨がやって来ないことを祈るばかりであった。

 走行車に危険を知らせる準備が整うと、私は、パトカーの中に呼ばれ、違反の事実を指摘されることになった。「三角板の設置義務違反」だった。

「少しでも早く車の撤去をということでの電話連絡は理解できますが」という言葉で、1点の反則と6000円の罰金ということになったが、ただ納得。

 この間の車内での交信で知らない世界を知ることにもなった。

 「**地点の故障車両。移動完了まで80キロ規制を願います」

 それは、高速道路上に設置された「この先、故障車両あり」という電光掲示板や速度表示の変更。こんな現場からの報告で変動している訳だ。

 それから30分ぐらいして青色灯を回したライトバンが到着した。JAFの作業前に義務付けられているという警備スタッフ。警察官と彼の引継ぎが行われた。

 「JAFの処理が済んで本線に走り出される際、極めて危険ですから充分に後方確認をしてください」

 そう言って覆面パトカーが走り去って行ったが、その後ろ姿に自然に頭を下げた。

 しばらく経つとJAFの作業車が到着。やっと対応が始まった。

 5分ぐらいで応急処置が施され、走行可能となった。どうやらガソリンポンプの目詰まり。

振り返ってみれば、これと同じ体験を10数年前、西名阪でしたことがあった。
その時の車はセンチュリー。担当した修理工場の責任者が「ガソリンスタンドに問題が」と、責任を回避する発言をしたことを鮮明に覚えているが、ハイテク技術が満載されている筈の車でも何が起こるか分からない。

 今回の事件は、きっとその時の体験が生き、何とか路肩まで移動することが出来たのかも知れない。

 「書類の手続きが必要ですが、ここは本当に危険なところです。この先のトンネルを抜けたところに広い待避所があります。そこまで先に行ってください。

 JAFの担当者からの提案でその通りにしたが、走行車線に飛び出す際のタイミングが非常に危険で、<今だ>とアクセルを一気に踏み込んで出発をした。

 約束をした場所での書類手続きも終わった。「有り難う」との言葉で帰路に着いたが、途中で、さっきお世話になった覆面パトカーがスピード違反を検挙して停車している光景に遭遇した。

 「お世話になりました」と車内で目礼を贈り、中国道を走行したが、広島県内で中央分離帯を突き破る大事故の処理現場に差し掛かり、<ひょっとして、あそこで停車していなかったら巻き込まれていたのかも知れない>という思いが、2人の車内会話で共通した。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net