2003-03-08
勝手な思い込み NO 366
車で町を走っていると、あちこちで「アパマンショップ」という看板や幟を見掛ける。
恥ずかしいことを吐露するが、私は、つい先日まで、これを「アンパンマン・ショップ」と勘違い、<アンパンマンとは凄い人気があるのだ>と勝手な思い込みをしていた。
ある交差点に赤信号で停まった時、その看板が目に入り、ふと、中を覗いてもアンパンマンのキャラクターらしきものが見えない。そこでしっかりと読み返した時、それがアパートとマンションを斡旋するビジネス店舗であることに気付いた。
過去に孫を伴って、高知県にあるアンパンマン・ミュージアムに行ったことがあったが、そのことが勝手な思い込みの原因のひとつであったのかも知れない。
その孫から、昨日、電報が届いた。私の誕生日に対するメッセージだが、これが、またとんでもない代物。日頃に弔電ばかり代読している私には驚愕するものだった。
一昨日に孫から電話があり、「ハム太郎とドラえもん、どっちが好き?」と訊かれ、何も考えずに「ドラえもん」と答えたが、その「ドラえもん」が祝電として配達されて来たのである。
ドラえもんとドラミちゃんのかわいい縫いぐるみが円筒を抱えている。その円筒の中にメッセージが入っていた。
弊社の女性スタッフに「ドラえもん」クラブのメンバーがおり、「これ、今、人気があるのですよ」と教えてくれたが、私は、一瞬、ドラえもんとドラミちゃんが喪章をつけた弔電を想像してしまった。
世の中は日々に流れ、変化している。どんな世界でも発想の転換が求められてきているが、それらは葬儀にあっても例外ではない。
私は、個性化、多様化、無宗教、ホテル葬など、葬儀に関する社会ニーズの変化への発想転換は誰よりも早かったと自負しているし、10数年前に提起して嘲笑 されたことがすべて現実になっており、当時から構築してきた知的所有権に帰属するオリジナルサービスがやっと注目される時期に至っている。
葬送のサービス提供は、今後、急変して行き、葬祭業界と宗教界での「淘汰」がもの凄いスピードで押し寄せてくると確信している。
自身の専門分野で抱いてしまう「勝手な思い込み」が、自身の仕事と人生に大きな影響を与えることも知っておきたいところ。
日本トータライフ協会のメンバー達は、今、これらのことを最大の危機と理解し、葬送サービスの原点である「悲嘆」の研鑽に取り組んでおり、着々と成果を挙げつつある。
危機の分析にあって発見出来たのは「遺族の悲しみ」。その理解への努力なくして葬祭業は成り立たない。そこが互助会や大手葬儀社と異なるプロの世界。
非日常的な出来事である葬儀。悲しみのドサクサに紛れて行われてきた葬儀が、今、確実に見直されてきている。そんな隙間産業が、情報社会の中で揺れ動いている時代の訪れだ。
今日は、遠方で気の毒な事故死の方の通夜がある。ご遺族のお悲しみが強く、そんな葬儀に従事する際、自身の勝手な思い込みがマイナスになることも少なくないことを心に刻む。