2003-02-28
講演時の紹介 NO 358
講師として招かれた講演会場。与えられた時間の前にプロフィール紹介があるが、私は、これが大嫌い。
気配りの出来る司会者の場合、「講師紹介は、どのように?」と打ち合わせをしてくれるが、「講師の紹介を**さんに」というようなケースでは、勝手に作られた物語を延々とされることもありウンザリする。
私は、おしゃべりのプロ。講演が始まって2分もすると、受講者を引きつけるテクニックぐらいは持っている。だから、失礼な表現で恐縮だが、前座の口上で与える受講者の勝手な先入観がマイナスになってくる。
数百回という講演経験の中で、<うまい>と思った紹介が1回だけあった。その時の司会者は、次のように言ってくれた。
「何も言いません。講師の紹介もいたしません。今から90分間、久世栄三郎の世界でお過ごしください」
正直言って、これには仕掛けがあった。その言葉で客電が暗くなり、音楽が流れるシナリオ構成。気を利かせてくれた司会者が上述のコメントを入れてくれたのである。
受講者の皆さんは、「何が始まるのだ?と興味津々」、1分も経たない内に私の世界に入ってくださることになった。
冒頭にこんな仕掛けをするのには、何と言っても紹介を担当してくれる司会者の技術が重要。演出を理解出来ない場合には絶対にやらないのはあたりまえ。
さて、ある講演で恥を掻いたこともあるので吐露申し上げる。
場所は伏せるが、方言訛りの強い遠い地方。主催者である会長の挨拶が終わり、私の紹介を担当する方が話し始められたが、その内容の8割が特有の方言でさっぱり解らない。それは、間違いなく通訳を必要とするぐらい。
しばらくして、会場から拍手が起き、その方が私を促している仕種で登場するべき時であることを知った。
演題の前に立つ。私には恐怖感が生まれていた。果たして、私の言葉が通じるのだろうか? それは、外国で講演するような心情。
冒頭に、「皆さん、この地域は、NHKのテレビ放送が見られますか?」と問い掛け、登場前のハプニングをコミカルに表現したらバカ受け。紹介者には申し訳なかったが、ふと紹介者を見ると大笑いをされている。
真面目な葬祭サービスの話をする冒頭で、とんだ「枕」をやってしまったので後がやり難かったが、講演終了後に名刺交換の列が出来、それで30分間も要したのだから成功したのは間違いないだろう。