最新 最古
2003-01-28

自衛官の涙   NO 327

昨日、お医者様の葬儀を担当し、その夜、また、別のお医者様のお通夜を担当した。

 明日はお寺様のご親戚の葬儀。お2人のお医者様とお寺様、不思議なご仏縁を感じながら今日の一日が始まった。

 式場には、自衛隊の制服を着用された方が大勢参列されている。ご祭壇の左側に感謝状と楯が飾られてあり、感謝状の原文を拝見する。

 この葬儀を担当しているスタッフ責任者は、弊社の「人『財』」。ミス・ホスピタリティである。

彼女がデザインしたメモリアルボードに10数枚の写真があったが、その中にもミリタリー的な服装を身に着けられた故人が写っておられた。

すぐに彼女から情報を入手してみると、故人は、幼い頃に難病を患われ、手足に軽度の不自由があられ、子供達の世界で当時に流行っていた戦争ゴッコに参加することが出来ず、いつも見ているという寂しい思いをされていたとのこと。

そんな不遇に「負けるものか」と医学の道を目指され、地域の方々に愛されるお医者様として、ご立派な生涯を終えられていた。

ご結婚されてから、奥様の遠縁に当たる方が自衛隊の高官というご縁から、演習を見学されたが、その時に見られた厳しい訓練に感動され、自衛官の啓蒙活動の一端を担う活動を始められたそうだ。

レンジャーバッジの授与式にもご夫婦で出席され、ご自宅にはご趣味のプラモデルがいっぱいあったとのこと。お子様の存在がないことだけが寂しいところだが、70歳にも満たない惜しまれるご終焉に際して、思われていた通りの人生を歩まれたように感じた。

今日の葬儀、式次第の中で感謝状の授与式が行われる。朝からそのBGMを収録したが、この曲は、私が大好きなレナード・バーンスタインの指揮によるもので、私の秘宝の一つである。

授与式は、厳粛な雰囲気の中で進められ、自衛官が祭壇前で代読された感謝状は、奥様に手渡されて祭壇に奉呈された。

葬 儀終了時の謝辞は、故人の弟様がつとめられた。冒頭に4つのことについて御礼をとおっしゃられ、ご入院されていた病院、自衛隊関係者、地域や患者さん、そ して、喪主となられた奥様への感謝のお言葉を述べられたが、ご悲嘆の胸中にもかかわらず、さわやかで心のあたたかいお人柄が伝わる口調で、それは見事な謝 辞であった。

その後、お柩の蓋が開けられ「お別れ」のひとときとなったが、数人の自衛官が涙を流されていたのが印象的で、死の悲しみの体感は、平和への重要な教えであるような思いを抱いた。

今晩は、遠くで行われるお通夜を担当しなければならない。午前中に雪が舞ったように、今日は特別に冷え込んでいる。時計を見ると午後3時前。寒さで声が震わないような対策を講じて出発する。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net