2014-04-26

背景にあるプロセス  NO 3618


随分昔に読んだ本の中に「中陰香を食す」とい言葉があったのを記憶している。中陰とは人が死を迎えてから満中陰までの49日間ぼことで、前にも書いた「生有(しょうう)・本有(ほんぬ)・死有(しう)・中有(ちゅうう)」の四有にもつながる言葉である。

「香」に関してはグローバルな意味があり、あまりにも膨大になるので触れないが、身近なもので考えるなら線香や焼香の「香」とも言えるだろう。

一部の宗派を除いて「供養」という言葉が用いられているが、その本の中に「供養とは『火』『水』『香』」とも書かれてあったが、ここでの「香」は「香り」にも拡がって「花」が含められることになるだろう。

仏教儀礼の中で「儀式の始まり、そこには『おひかり』『お香』『お花』」というのもあり、「献灯」「献香」「献花」という開式前の「奉儀」の発想に至った歴史もある。

五供養という言葉も存在している。それは「香」「火」「花」「飲み物」「食べ物」であり、「陰膳」などの習わしにもつながると言える。

司 会者として現役時代に重視していたことはそんな言葉の意義の存在で、葬儀という場で自分もやがてこの日を迎える事実を教えられたと体感されたら何よりの意 義と考えており、そこで導師を務められる宗教者のお手伝いが少しでも出来ればと思い、「大切な『人』の大切な『儀式』に大切な『宗教者』を迎える環境」に 「神変」させるために「奉儀」の実践に至ったプロセスがあった。

それは想像していた以上に効果が生まれた。それまでの葬儀では考えられな いほど静寂な空間が生まれ、「会場空間」が「式場空間」として神変することを現実に体感することだが出来、それらは研修に来られた同業者や司会者を経て全 国に流行するようになったが、プロセスを理解されることなく表面だけを真似てしまって残念に思う人達も少なくなかった。

「学ぶ」ということは「真似ぶ」から始まるという言葉もあるが、される以上は本物を行って欲しいと願っている。

こ の「奉儀」について予想外の出来事があったことを紹介しておこう。ある葬儀が一時間半の式次第で行われたのだが、故人が様々な団体と交流されていた中で最 も参列者数が多いと予想された団体に知らされないことになり、参列者数が少なくなると判明。そこで開式前に行う「奉儀」を開式時間から始める式次第に変更 し、導師のご入場を10分遅らせることにして打ち合わせをしていたのだが、お寺様達がご興味を抱かれ見学してみたいと装束を付けられたお姿で受付の横まで 来られていたのである。

葬儀が終わって控室に参上した際、「あれは初めて見たけど、いいね。これからもずっと続けて欲しい」とご賛同の言葉を頂戴して恐縮した出来事だった。

この葬儀で知らされなかった団体について誤解が生じたらいけないので事情を書いておくが、その組織は全国的で、故人は全国から来られる方々に迷惑を掛けたくないご意志に併せて、義理的会葬者に対する抵抗感もあられたようだった。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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