2012-07-09

信じられませんが  NO 2981


  手元に「角川 新版実用辞典」があり重宝している。所属していたライオンズクラブの記念式典で貰ったものだが、手頃な大きさなので便利である。1000 ページ近くの辞書なので愚生のような立場には多過ぎるぐらいだが、天眼鏡を離せない不自由な目の状態さえなければ問題なく、1988年初版で1991年十 一版発行という辞典と共に過ごした時間を振り返っていた。

 その辞典だが、ある時「エー!」というミスがあることに気付いた。それは、ある言葉の意味を調べようと開けたページにあったが、569ページにおかしな表記がされていたからだ。

「韜晦」が右上にり「撞球」が左下にあるのに、上部の枠外に「もうかい⇒とうきゆ」とあり「とうかい」が「もうかい」になっていたことを偶然に発見した。辞書にこんなミスプリントがあるとは驚きだが、何か人間的で温かな感じを抱いた。

 さて、世の中に「格安」という言葉が目立って多くなっている。日本の空に進出した格安航空会社もその一つだが、ある人物が面白い言葉で指摘されていた内容に妙に納得をしてしまった。

「格安を提供する側は、消費者の質を落とすことで成り立っている」という考え方で、消費者に「悪かっても、安かったら」という意識が生まれているという分析だった。

  NHKの調査で、中国からの団体旅行の受け入れ中止を決めた旅行会社が11パーセント。これ以上の拡大はしないという姿勢の旅行会社が65パーセントもあ るそうで、東京と大阪間で5泊6日の日本観光が5万円という価格で中国が展開しているのだから信じ難い事実だが、浜松の大規模ホテルが一泊二食付きで5千 円台で提供するのを限界を超えたので止めたというニュースもあった。

 価格には「適正」という言葉も重要で、品質を無視したサービスは我が国では受け入れられず、一時的に流行しても、しばらく経つと消費者離れという結果が多いようだし、提供する側も愚かな競争に気付いて本来の道に戻るということになるのだろう。

 どんな世界にも本物は「格安」的な発想はせず、理解される方々だけで十分という開き直るケースもあり、それらの需要と供給バランスが一致している面白い現実が存在している事実もある。

 スカイマーク、ピーチ航空、ジェットスターなど次々に格安航空が登場して来たが、利用された方々の中に「二度と乗らない」と憤慨された人も少なくなく、ネットの中で批判されている意見も目立って増えているようだ。

 乗客とは「人」であり、決して荷物扱いするべきではない筈。それを搭乗前から「人」として考えない航空会社なんて信じられない話だが、話題になったスカイマーク問題は、まさにその典型と言えるかもしれない。

 さて、我々葬儀社が携わるのは亡くなられた「故人」と「ご遺族」と呼ばれるようになった「ご家族」の方々だが、我が国の「法」は不備が多く、特に「故人」の存在に関する考え方が曖昧のままである。

 昔、宮型霊柩車の後部に「積載量」が表記されていた時代があった。そこに「100キロ」とあったのだから、お棺や内装品を差し引いて体重90キロ以上の方は違反という事実が秘められていた。

 また、病院からご自宅まで搬送申し上げる寝台自動車のナンバープレートは「8」という特殊自動車扱いであり、陸運局の認可を受けていない業者が「4」ナンバーで搬送していたケースでは、ご遺体を荷物と考えていたとも指摘されるだろう。

  前にも書いたが「弗」という字は「否定」を表す文字であり、水が沸騰する「沸」は「水でない」状態だし、「佛」という字は「人ではなくなった」ということ になる。だから「8」ナンバーの特殊自動車となるのかもしれないが、間違っても「荷物」という「物」ではないことだけは大切にしたいものである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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