2004-05-08
車内誌から NO 786
出張での飛行機や列車の中、座席の背もたれに入っている雑誌を見るのも楽しみ。
人は、機内販売や車内限定販売という言葉に弱く、つい衝動買いに走ってしまうことが少なくない。
JR北海道「車内誌」を見ていると、「涙岬に魅せられて」というタイトルページが目に留まった。「北海道 ちょっと遠くへ 厚岸・浜中 ぶーらぶら」という見出し。ノンフィクション作家「川嶋康男さん」の紀行文だった。
トップページに掲載されている「安場 修さん」の写真も秀逸、岬に飛び出した女性の横顔みたいな岩が強烈なインパクト。様々な伝説が語り継がれているそうだが、「雨の降った日は、目の窪みから水が流れるため、涙をながしているように見えますよ」という表記がある。
「涙岬」という文字と言葉の響きが何か切なく、次回の出張で時間があれば是非行きたいと思っている。
一方で「大切な人の大切な日に」とタイトルされた「祝いの宿 登別グランドホテル」のCMページが洒落ていた。
歴史小説家「植松三十里さん」の文章が綴られてあったが、その「題」に興味を覚えた。
「母の日の母」とあり、冒頭に次のように書かれている。
「上から読んでも『母の日の母』、下から読んでも『母の日の母』。この手の言葉を回分という。そのうえ『母の日の母』は、ひらがなで書いても『ははのひのはは』なのだ。
昔、大学の落語研究会に属していた友人が「回文」遊びを教えてくれ、随分長い文章を読み上げ、「この文に仕掛けがあるが、分かるか?」と言われたことがあったが、「回文」とこんなかたちで出合うとは面白く、懐かしみながらそのタイムリーな一文に拍手を贈りたくなった。
降車駅が近付きページを閉じたら、裏表紙のCMが飛び込んだ。
飛行機内の数十席すべてに金封が置かれた写真、それは、全日空のキャンペーン広報。
「電子マネーみんなに1000円分キャッシュバック!!」「みんながハッピーキャンペーン」という超現実型コマーシャル。
搭乗半券2枚で「1000円」か「ビッグマックを1個」サービスとある。
ビッグマックとは、マクドナルドではないか。上述のホテルのCMとは対照的。こんなギャップを感じるのも車内誌ならではのもの。
CMの世界で名高い友人がいるが、彼ならどう思うだろうか? そんな質問をしてみたくなり「ご自由にお持ち帰りください」というところから、往復で2冊をパソコンバッグに納めてきた。