2003-05-20

ご 紹 介    NO 435

役員会議が行われ、亡くなられた社長の社葬を行うことを決定された。

 総括責任者は総務部長。役員からの要望は「恥ずかしくないよう」ということが強調さているが、経費については体験もなく「適当に」と言われたのだからびっくりする。

 総務部長は取引先の社葬参列も多く、そこそこの知識を持っておられたが、自社の社葬は初めてのこと。自分が責任者となると話は別。どのように進めていくべきか苦悩が始まった。

 やがて当日の天候と駐車場のことが懸念になり、全国から参列される会葬者のことも考慮し、ホテルを会場とすることが決まる。

 数日前に密葬が行われたが、この時に担当した葬儀社が「社葬を是非当社で」と何度もアタックしてくる。しかし、遺族のおられる自宅へ何度も押し掛けた姿勢で「貴社は密葬だけで終わりました」と引導を授けられた。

 次の日、3件のホテルの窓口を訪問され、どんな企画が可能かと問われたが、どこも「当ホテルで社葬は承っておりますが、今、担当者がおりませんので後日に伺います」ばかり。

 日程も決めなければならないし、決定すれば通知をしなければならない。それだけでも大変な作業で、することは山積み。でも入り口さえ見つからない状況で帰社する。

 そんな時、廊下で遇った専務の発言にヒントを感じた。「進んでいるかね?」そう言われて「ホテルを会場と考えています」と答えた彼。そこで専務が面白いことを。

 「最近、ホテルが多いようだが、何度か会葬に行ったが形式的だ。あれだったら遺族が気の毒だし、社葬なんて必要ないなと思ってしまったよ」

 その言葉に同じ思いを抱いていた総務部長。そこで、ふと取引先の社葬のことを思い出した。

 「専務、**さんの社葬、確かご一緒いたしましたね?」

 「ああ、去年? いや、一昨年だったかなあ?。あれ、君も僕も感動して、**さんからのお礼の電話が掛かる前に、こちらから『素晴らしい社葬だった』と電話したのを覚えているよ」

 専務と総務部長の意見がすぐにまとまった。「会場だったホテルに聞くより、**さんに直接お聴きして確認しよう」となった。

 電話が入った**さん。「なんだったら、弊社があの葬儀社に連絡してあげますよ」とご返事。

 「あの時はお世話になり有り難う。取引先から紹介して欲しいということで電話をしたのですが」

 なんと有り難いことではないか。最近、そんなお客様が増えてきたことが何より嬉しいこと。「体感に勝るものなし」という言葉を思い浮かべている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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