2013-12-29

年末の出会い  NO 3493


本当に冷え込みの日が続いている。そんな中、何軒ものお葬式が入っている。スタッフも大変だろうが急にご遺族と呼ばれるご家族の人達がお気の毒だし、参列されるご親戚の方々も大変だ。

昔、 元日の午前7時過ぎにお葬式のご依頼の電話があったが、社名の入った車を使用せず時間指定でインターホンも鳴らさずにご自宅に入った思い出がある。それは 元日を祝われるご近所の皆さんへの配慮で、2日の午前中に地域の役員さんに知らせ、3日のお通夜で4日の葬儀の日程で進められ、新年ですのでご予定のある お方はご遠慮なくという追伸の入った回覧板が回された。

そんな配慮をされる方もあればその反対という行動をされるケースもあった、寝台自 動車がご自宅に搬送して来た事実を目撃し、30分も経たない内に地域に広まってしまってどうにもならず、ご遺族が予定されていた葬儀の日程が大きく変更さ れることになってしまって余りもお気の毒だった。

最近は少なくなったみたいだが、お葬式が発生すればまるで「お祭り」みたいに行動される 地域も存在し、地域役員の役職肩書に「祭礼部長」というのがあり、地域に在する神社のお祭りの責任者と思っていたらそうではなく、地域でご不幸が発生した 際の重要な役割を担う立場となっていて驚いたことがあった。

ある遠方の地域で面白い出来事があった。今ではあまり見掛けなくなったが、関 東では「花輪」、「関西」では「樒(しきみ)」が定番となっていた時代のこと。その地域ではご近所への迷惑というところから申し合わせ、樒は「親族一同」 と「地域自治会」名だけとなっていたのだが、地域名の分は「葬儀社負担」を強いられており、私はこのしきたりはおかしいと問題提議した。

当 時の樒一対の料金は「5000円」だったと記憶しているが、「お供えを只でするのは罰当たりで以ての外」というのが切込んだ大義名分。それまで何十回と葬 儀が行われていた歴史があるが、過去に担当したお客様のご親戚というご仏縁から初めて担当した地域で、無難にするのが常識かもしれないが、こんな不条理な 事実は見過ごせず、お通夜が済んだ後で役員さん達が集まる場所へ呼び出され、吊し上げられるのを覚悟しながら参上したら「考えてみたら葬儀屋さんの言うと おりだ。亡くなられた方を冒涜して来たことになる。我々地域として自治会名さえ表記されていればと考えていたことに誤りがあったようだ。ここに5000円 あるから受け取って領収証だけ出してください」

それは、全く予想もしなかった結末となった。仏さんをバックに不条理なことに対して戦いを 仕掛けたことは何度もあったが、全勝全勝の歴史でも後味の悪い物もあったことは事実だったのに、これほど和やかに逆に感謝までされたことは初めてで、それ からその地域の葬儀で何度か参上することになった。

さて、枕元に置いている電話の子機が、深夜の午前3時42分に「非通知」を告げるベルが一回だけなった。我が家の電話は発信地をアナウンスしてくれるタイプで、非通知には「非通知です」と教えてくれる。

そ れからうつらうつらとしている間に変な夢を見た。ストーリーは2本立てで、前半のものはこの「独り言」で触れられるような内容でないので省くが、後半はあ べのハルカスのような高層ビルの最上階にいると、突然大きな地震に襲われ、近くの高層ビルが倒れたり崩壊する恐ろしい光景だった。

夢はイマジネーションと言われ、日頃に抱く恐怖感が表れることが多いそうだが、そんなことだけは起きないように、来年は大きな自然災害がないようにと手を合わせる。

各 地域で年末恒例の防犯委員による夜警が行われている。そんな役員さんに「お疲れ様」と声を掛けて銭湯へ。今日は柚子湯の日であったが、柚子の入っていない 温めの湯に入っていたら、「痩せましたね」と声を掛けられた。その人物はかつて私のカッターシャツを全て作ってくださった方だった。きっちりされる以上に 慎重な仕事で、その縫製技術はまさに匠と称される職人の世界だった。

葬儀という仕事にプロとしての誇りを抱いていたところから、スリーピースでもディレクタースーツでもダブルカフスに拘っており、数え切れないほどオーダーした歴史がある。
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