2011-12-26

重いと思うこと  NO 2791


 所用があって生野区役所へ行った。待合室で座っていると<あれっ?>という後ろ姿が。やがて顔を確認したら若い社員だった。

 彼は、死亡届の手続きに来ており、やがて発行された火葬許可証を手に会社へ戻って行った。

 我々葬儀社にとって当たり前のように手続き代行をしている死亡届だが、そこには「個人」情報と「故人」情報の問題があり、真剣に考えなければならないと提起したい。

 死亡届用紙の左半分には本籍、現住所、氏名、生年月日の他に下段には続柄のある届出人に関する書き込み欄もあるし、右半分の死亡診断書には死亡日時や死因についての医師が書き込む条項がある。

 つまり、どんな病気で亡くなられたが一目瞭然であり、もしも事故死や変死で検視となれば、管轄警察署刑事課の検案書となって来るので秘匿したいケースも少なくない筈。

 我々葬祭業者は弁護士や医師と同じで、業務上で知ることになったプライベートな情報を他人にオープン化することはないが、死亡届に関してもっとデリケートに担当しなければならないと考えている。

 ご遺族へそんなアドバイスをした上で代行を依頼されたら別だが、それが当然のように「死亡届を預かります」なんて言葉で行動すれば、それこそプロのレベルではないと言えるだろう。

 近所の方から「なぜ亡くなったの?」と興味本位な質問をされることも少なくなく、それらは時折に親戚の方から聞かれることもあり、「個人情報ですので」とやんわりと断って秘匿するべき問題である。

 さて、この年末になると思い出す葬儀がある。ある方の葬儀に参列された親戚の方で、「私の葬式の司会はこの人に」と遺言をされ、遠方まで車で担当に出掛けた出来事があったからだ。

 まだ山陽自動車道が完成していない頃の話だが、葬儀当日だけと言うことで、音響機材一式を車に積み込んで国道2号線を西に向かって4時間以上も走行した。

 祭壇設営やお通夜に関しては地元の葬儀屋さんが担当されていたが、その同業者さんが私のことを知っておられたことから許可が出たらしく、音響設備の配線を手伝ってくださったりで随分と助かったことを憶えている。

 実を言うと、この葬儀が行われていたご自宅には、大阪を午後9時過ぎに出発し、深夜の2時過ぎに到着していた。

 もしも式場探しで遅れたら申し訳ないと、気になって前日に出発した訳だが、アイドリング状態の車内では余りにも寒く、ぐるぐると走り回って朝を迎えたのだが、エコが叫ばれる今の時代では考えられない行動である。

 その葬儀、地元の業者さんが「こんな大層な音響機器を!」とびっくりされていたが、その音質の良さにも驚かれていたのも印象に残っている。

 音響機材は我々にとって何より重視しなければならないもの。軽視すれば故人を「軽んじる」ことにつながるであろうし、人生とは重たいものと考えれば必然として高レベルな機器を求めることになるだろう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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