2007-09-29

お気の毒ですね  NO 1989


 相撲の世界に衝撃的事件。一人の若者が死を迎えた背景に秘められた問題にマスコミが騒いでいる。遺族の立場を考えてみたらまさに悲劇であるが、何やら隠蔽工作が講じられたようで怒りが強くなっているようだ。

「火 葬を行います」なんて言葉を加害者側が発言すること事態がおかしいこと。我々の仕事に従事していると死亡診断書を書いた医師の行為が不思議でならず、警察 に届けなければならないという「医師法」違反があったと指摘するのが常識だし、外国での事件でもあるまいし、お骨で親元へ帰すなんて発想は隠匿行動なくし ては考えられないものである。

 記者会見でお父さんが「真実を知りたいのです」と仰っていたが、それなくして謝罪の姿勢を感じることは無理で、その先に生まれて欲しいと願う「慰めや癒しの扉」が開くことはないと言えるだろう。

 前述の「医師法」違反に関して触れるが、親方側が「火葬」を考えたなら医師だけではなく我々業者に対する依頼もあった筈であり、死亡診断書に「心不全」と記載され、ご納棺時に<?>が生じておればどうなったのだろうと疑問が生まれる。

 我々も医師や弁護士のように「知り得た情報の秘匿」という姿勢を大切にしているが、犯罪の片棒を担がされるのは御免であり、何より亡くなられた人に対して申し訳ないではないか。

 過去ログに書いたが、我々の職業が知らない内に完全犯罪を手伝わされていることも無きにしも非ずで、考えてみれば恐ろしい話しであり、故人と遺族の立場を思い、事実が明るみになることを願っている。

 さて、昨号に書いた司会者から、今日も深刻な状況を切々と訴える電話があり、30分ほどアドバイスをすることになったが、社葬本葬とは別にホテルで行われる「お別れ会」も、すべて誰も得することのないお気の毒な企画で進められることになったようだ。

 すべての権限を有する人物の「裸の王様」的考えに皆さんが翻弄されてしまい、何より故人が悲しまれる結果が確実で、飛んで行って「打っ潰したい」心情を抱いている。

  会場という物理的事情にも無理があり、そこに参列される方々に生まれる思いを想像すると寒くなる。私だったら間違いなく「故人と参列者に対する礼節を欠い た企画は出来ません」と断っているだろうし、「なんだ、このホテルは?!」と誤解されてしまうホテル側の立場を慮ると、彼らは確実に被害者となるだろう。

 会社側と遺族側の要望が異なるケースは少なくないが、プロデューサーという立場がしっかりしていれば解決できる問題なのに、担当する葬儀社にその力がなければややこしくなり、故人や遺族を悲しませるだけではなく、それこそ意義のない葬送となってしまうので残念である。

 今回も受注した葬儀社が頼りないようで、問題を余計にややこしくさせてしまっており、社葬を終えてから改めてホテルで「お別れの会」を行うという不思議な企画が進められていた。

  高額な費用を掛けて無駄な「社葬」や「お別れ会」を行い、参列者から嘲笑されているケースも多く、プロデュースひとつでどれだけスマートで有意義に企画さ れるかが我々プロの仕事。プロとは、参列者から嘲笑されるような要望に対して、時にははっきりと否定的なアドバイスを行い、「笑われると分かっている仕事 は受けられません」と、司会やプロデュースを辞する行動も大切で、「何でも仰る通りに」というのはプロでない仕事だと考えている。

 弊社 が加盟する「日本トータライフ協会」のメンバー達は、それぞれが高度なプロデュースパワーを有しているが、塾生の中には「派遣」という立場の司会者も多 く、塾でホテル葬やプロデュースについて研鑽を重ねた経験から、派遣先の葬儀社のプロデュース力に歯痒くて残念な思いをすることが多いようである。

「お別れの会」「偲ぶ会」「ホテル葬」「告別献花式」「無宗教形式」なんて言葉が飛び交う時代になったが、過日の「阿久 悠さん」を送る会について「献花がおかしい」と指摘したように、最も大切なことを忘れてしまうような「集まり」だけはするべきでない。

 この時間、<どんなシナリオで?>と頭を悩ませている司会者の顔が浮かぶが、遠いところまで車で走行するなのだから「安全運転を!」と願っている。
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