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2003-09-09

ホテル葬 『松の廊下』    NO 541

最近、弔辞に関するお問い合わせが多くなってきた。

 昨日の夜にも東京の方からお電話をいただき、弊社HP内にある「大百科」の存在をお知らせし、創作に関しては弊社が関係する東京のメンバーを紹介申し上げた。

 「弊社の社長が葬儀委員長をすることになりまして」
 「弊社の会長が弔辞を頼まれまして」

 そんなお電話の相手さんは、大半が総務担当者か秘書室長。中には草稿だけではなく、奉読される指導まで懇願されたケースもあった。

 重役が会葬に行かれる。そんな時、総務や秘書の仕事で最も重要なことは「恥をかかせない」こと。それには当日までの情報入手が大切。

 最近、ホテルでの「社葬」や「偲ぶ会」が増えたが、「平服でお越しください」との表記を真に受けられ、会場に行ったら親会社の役員が礼服を召されており、松の廊下の吉良家、浅野家の問題になりかかったという悲喜劇もあった。

  冠婚葬祭の挨拶に関する書物が山ほど存在しているが、今の社会は手っ取り早いものが歓迎されているよう。弔辞まで外注されるとは驚くが、我々プロが創作し た弔辞は、本人作でないことがすぐにばれてしまう。それは、本文の中身のレベルが異なるのではなく、ご本人の日常の言葉遣いが原因する。

 過去ログに書いたが、他府県のある方から弔辞についての相談を受け、電話で40分も費やしたことがある。この方は、次の日に弊社が担当する社葬で奉呈される方。だから真剣に対応したのは言うまでもない。

 つい先日も、面白い方から電話で弔辞の相談があった。「生まれて初めて弔辞を受けた。故人は竹馬の友。私は文章も喋るのも大の苦手。でも、やってやりたい気持ちもいっぱいなんだ」

 そこでインターネットのことをお知らせしたが、「そんなもの触ったことも見たこともない。テレビの画面みたいなものが弔辞を作れるなんて信じられん」

  そこから電話で延々と拝聴した故人との思い出話。電話を切って30分で創作し、すぐに電話で読み上げ、「もう出来たのか?」まではよかったが、ここからが また大変。「ファクシミリなんて見たこともない」とのこと。そこで奥様にご登場いただき、「ご近所に何方か?」と伺ってみると、「あるわ。私がお世話に なっているお医者さんにあるわ」

 それから20分ほどして送信出来たが、弔辞をお医者さんに送信するとは変な具合。
 
 「診察」を専門とされるお方の「心察」をした出来事だった。

 「祝辞」は短くて「縮辞」。「弔辞」も「長辞」とならないように心掛けたいものである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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