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2003-09-22

ホテルの仏事サービス    NO 554

2001年1月22日に始まった「日本トータライフ協会」のコラム「有為転変」が、今日、600号を迎えた。

 協会の若いメンバーたちを中心に、コラム委員会が組織され、ほぼ毎日更新を続けてきた。

 今日の号では、ホテル専属の司会者が、ホテルで行われた法要で言葉を滑らし、お寺様からカウンターパンチのようなお言葉を頂戴した始末が書かれてあった。

 バンケット部門を有するホテルの大半が始められた「法宴サービス」、これは、そんなところに意外な落とし穴があるという教訓でもあろう。

 「法要は『お寺か自宅で』。お食事だけ当ホテルをご利用ください」

 そんな姿勢で始まった「法宴ビジネス」だが、「披露宴だけホテルで」という、ホテルブライダルの始まりに全く似ている感を覚える。

  神主さん、牧師や神父さんを迎え、ホテルの中で結婚式そのものが行える。ならば法要も「お寺さん」を迎えようではないか。そんな単純発想でサービス競争が 始まっているが、お経の長さや焼香という問題で歓迎したくないのが本音。しかし、その最たる要因は、宗教や宗教者に対するノウハウがないということ。

 一方で、ホテルは葬祭業者との提携を避けている。それは、どんな大規模な葬儀社でも同様で、ホテルステータスのイメージダウンが怖いのと、自社側利益を第一に考えてしまうこと。

 私が多くのホテルで歓迎されたのは、総合プロデューサーという「看板」。ホテル側の一員としてお客様に接し、満足度の高いオリジナルなサービスを提供する。その結果、そこに生まれる付加価値が代価につながり、お客様とホテルの両者が喜ぶことになる。

 プロデューサーの仕事で大切なことは、この部分。即ちキャスティングで、泣かせる立場をつくらず、関係者すべてを喜ばせる配慮が売り物のサービス業。

 ただ、例外に泣かせてしまう分野もある。それは、ホテル専属のフラワー会社。祭壇をハードと捉える姿勢では、ホテル空間は売り物にはならない。そこで厳しい姿勢で接するが、応えてくれたフラワー会社は確実に成長している。

 ホテルは、環境空間が売り物の筈。広大なバンケットルームに、「物」でしかない祭壇を設置し、ただ集まる「会」を提供している。これではレンタルルームのサービスレベル。この姿勢が続けばホテル社葬が消滅するし、社葬そのものが世の中で行われなくなるだろう。

 そこで主流となるのが、本当の意味での偲ぶ会やお別れ会。その時に、熾烈なホテル戦争が始まり、生き残るのはソフトを有するホテルのみ。ここに「体感にまさるものなし」という現実を背景に、お客様が選択される時代に突入していくと予測している。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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