最新 最古
2004-04-06

旅   NO 755

韓国で走り出した新幹線、トラブルが多いと報じられていた。

 人命に係わる交通機関、高速という世界では安全が第一。その慎重さが原因していることもあるだろうし、しばらくしたら順調になると思っている。

 しかし、トラブルの中でびっくりしたことがある。それは、座席の方向転換が出来ず、折り返しの際に進行方向に背を向けて走るということ。

 4人で在来線の特急列車に乗った際や、リムジンで進行方向を背に座った体験があるが、いずれも不快感を覚え、時には酔ってしまったこともある。

 時速100キロ程度でこれだから、300キロとなれば不快感は当然。最新のハイテク技術が投入された新幹線で「人」が軽視されたことは不可解な思い。きっと早急に改善されると思っている。

 さて、新幹線や在来線の特急列車を利用することが多いが、駅で列車を待ち合わせている時に見る光景は様々。それは、私の好きな世界である。

 栄転や左遷で送り出される光景、新婚旅行出発を見送る場面、また、しばしの別れという刹那さを感じる恋人達のシーン。それらは人間模様の縮図そのままを映し出しているとも言えるだろう。

 久し振りに会った孫との辛い別れは何度も体験したが、一方で親分らしき人物を迎える組員達の緊張の姿勢もドラマティック。彼らの世界特有の礼節には興味を覚えている。

 余り遭遇?したくない光景は、国会議員と芸能人。両者に礼節や謙虚さは感じられないから。

 テレビの中と全く異なる実生活を垣間見るような思いのギャップ、それは、社会という現実に戻されてしまうような気がする。

 「晩年は、旅行が楽しみでした」というご遺族の思い出話が多いが、人は知らない世界に出掛けたいのが不変の道理。旅は、人の心の扉を開けてくれるし、時には心の傷も癒してくれる。 

 車窓に見える風景に生活が見える。<こんな山奥に家が?>と思うことも少なくないだろうし、大きな都市の駅に雑踏という現実に引き戻される変化も移動が与えてくれる旅の魅力。

 それらは、自身を見詰めなおす特別なひとときを過ごすことにもなるだろう。

 人は、やがて一人でこの世を出立しなければならない。多くの思い出を心に仕舞い、人に看取られ人に送られる。

 ふと振り返ると、人に思い出を与えてきた人生にも気付くだろう。病院のベッドで白い天井を眺めながら去来するもの、それは、人によって異なりはあるだろうが、過去のすべてを思い出した後、必ず現在に戻り、自身の臨終の近いことを悟る筈。

 その先、そこに見えるものは「未来」であり、過去に先立った多くの人々を思い浮かべるだろう。

 私は、葬儀屋。送った人がいっぱいおられる。「私の葬儀、有り難う」と迎えられる葬儀<者>でありたい。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net