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2004-05-13

ご仏縁に手を合わせ   NO 791

入社した新人女性スタッフが、研修期間を過ごしている。コピー、FAX、遺影やビデオ制作、大型プリンターの操作など、ハイテク化が進んだ葬祭業での秘められた苦労が始まった。

 隠れ家に招き入れ、アナウンス技術の「さわり」を体感させたが、その感受性の高さに期待が出来ると確信した。

 そんな彼女だが、過去に辛い体験が。「人は、辛い思いをしただけ他人に優しくなれる」という言葉を思い浮かべながら、入社に至った「えにし」について、彼女が綴ったものを下記させていただく。

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 この春、かねてより念願だった葬祭サービスの世界に飛び込むチャンスをいただきました。「大阪高級葬儀」という名の下で、学び成長する機会を与えていただいたのです。

 かつて自営業を営んでいた父の会社の道向かいに高級葬儀の倉庫があり、社員の皆さんが学校帰りの私に「お帰り」「今日は暑いね」などと声を掛けてくださっていましたが、それは、少し気恥ずかしい中、嬉しかったことでもありました。

 しかし、そんな優しい笑顔とは打って変わって、てきぱきとトラックに資材を積み込み、仕事に向かわれる姿も何度か目にし、その切り替わりの素晴らしさに尊敬と強い憧れを抱きました。

 その十数年後、父が突然に亡くなるという悲劇に遭遇し、パニック状態の中、病院で無意識に「高級葬儀」に電話をしていました。

 深夜に急いで駆けつけてくださった社員の方、驚きの表情と少しの涙があり、それは、私達家族を支えようとしてくださる誠実な光が見えました。

 「助けて」という言葉、それが私達家族の切実な願い。

 厳しい寒さの時期、珍しく穏やかな日に行われた父の葬儀。じっと座って遺影を見つめ、これまでの思い出や形見となってしまった数々の言葉を思い出しながら時間が流れ、太陽の清々しい光に照らされるような中で送り出された柩。その瞬間に感じた「父」。

<悲しい別れ>だと思っている一方で、きっちりとした葬儀が行われ、多くの方々に見送られる光景に不幸が薄らいだような気がしたのも不思議なことでした。

 私の人生の中で一番衝撃な出来事だっただけに、その後、何度も葬儀の時のことを思い出しました。そして、そこで気付いたことがあったのです。

 葬儀社の皆さんがくださった言葉や気遣い心遣い。父の葬儀を神聖なものに高めていく空間創り。それらは私達の悲しみを慰めてくれる大切なことであったこと、思い出に浸れる環境をプレゼントしてくださっていたことと。

 それらは「心に響くサービス=真心の仕事」ということにつながり、私が葬祭業に惹かれるきっかけとなりました。

 私が悲しみの底から救われたように、いつか悲しんでいる誰かを支えられるようになりたい。<大切な人を亡くした時、『真心』で癒される。そして、『生きている』ことに感謝できることが多くの方々に感じられたらいいのに>

 今、そんな私が葬儀社の一員になっています。こんな思いを「かたち」として伝えられるように努力し、この会社の「心」という理念を共有できる日々に感謝しています。
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