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2004-12-23

予感?   NO 1014


 深夜に友人夫婦と話をしたが、別れ際「これから病院に行くけど、夜中に電話をすることになるかも知れない。頼むよ」と言われた。

 奥さんのお母さんの病状が悪いそうで、「お父さんのことをフォローしてね」と返して帰宅した。

 枕元に置いてあった携帯電話が鳴っている。スタンドのランプを点けて時計を見ると5時過ぎ、憔悴しきった声で「頼む」とだけ聞こえた。

 すぐに2人のスタッフに電話を入れ、遠方にある病院に向かわせ、ご自宅に到着される頃に参上した。

 4階建てのお家、落ち着いた空間が出来る40畳ぐらいのお部屋にご安置。ここで2日間お過ごしいただくことを提案、ゆっくりとした4日間越しの葬送スケジュールを決定した。

 いつからか忍び寄っていた病の俄かな訪れ、壮絶な闘病期間の様子を拝聴したが、ご家族の皆さんが「よく頑張ったのに」と優しく見守られていた。

 故人とは40年以上前からの交友が。私が高校生の頃からお世話になっていた。

 喪主をつとめられるご主人が「戒名に『慈』の文字をお寺様にお願いしたい」とおっしゃられたが、その文字は、私が故人のイメージとして抱く心情とも一致。ここでの会話に素晴らしい夫婦愛の絆を感じ、特別バージョンの「慈曲葬」が頭の中に浮かぶ。

 ご夫婦がご苦労されて築き上げられたお店は見事にご発展、立派な後継者にも恵まれ順風満帆の日々に訪れたご不幸。

3ヶ月ほど前「これからの人生黄昏を夫婦でゆっくりと温泉めぐりでも」と交わした会話が虚しくも実現することが出来なくなってしまった。

 私は「孫」が誕生してから葬儀の対する考え方を大きく変えられた。それは、それまで担当してきた葬儀を根底から覆すほどのもので、猛省以上に後悔に至る衝撃があった。

 そこから強く抱くことになった「命の伝達」だが、いつも葬儀を終えたご出棺時にしていることを、今日は「枕経」が行われる前にした。

 エラそうに説教染みたことも言ってしまったが、孫さん全員が正座をして聞いていてくれた。

 ご当家には秘められたご家族愛の物語がいっぱいあり、会葬者全員が式場の中に入れる環境から1時間半の式次第を組み、特別バージョンでの進行を考えている。

 夕方、弊社のスタッフが「いかにもお寺様らしいご住職」と称するお方がご来社。「隠れ家」で2時間ぐらいお過ごしくださった。

  これからの葬儀はどうあるべきか? ご遺族のために宗教者と葬儀社がどのように進めるべきか? そんな「大それた」ことをお話ししてしまったが、「命の伝 達」ではすぐにご賛同を得ることになり、今後の通夜のありかたや意義ある「お説教」のありかたを話題に充実した時間となった。

 弊社独自 の「奉儀」のこと、またご住職がホテルでご体験された法要での問題など、お喋りの6割ぐらいは私、それは僭越にも一方通行型?で、<申し訳ございません> と、お見送り時に手を合わせたが、近い将来、このご住職と私のコンビで担当申し上げる通夜や葬儀が何か変わりそうな予感がしている。
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