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2004-12-24

友人に感謝の日   NO 1015


 今日の大阪は今冬の最高の冷え込み。風による体感温度を下げないがため、少し遠回りだが出勤する道を商店街で選択した。

 事務所を覗くと、何か問題が発生しているよう。数人それぞれがやりとりしている電話の状況から、それが故人の「ご遺影」に関することだと分かった。

 何かの記念日にご夫婦で撮影されたお写真だが、有名な写真館で撮られたもの。この「生地」が大問題、拡大するに従って「絹目」の斑点が目立ってくる。我々葬儀社が最も悩む代物なのである。

 ご家族の皆さんお気に入りのお写真、何とかこれで拡大してあげたいのだが、祭壇にマッチする特別サイズに引き伸ばすとどうにもならない現実。

  スキャナー、デジカメ撮影、特殊コピーなど様々に手を尽くしてみたが納得に至る結果は到底無理。残された最後の手段は絹目写真の上に特殊な液体を塗ってス キャンすること。この液体を拭う液体の存在もあるのだが、貴重な写真を少しでも汚してしまったら取り返しがつかず、そんな危険な賭けを許すことは出来ない のも心情。

 スタッフが次に取った行動は、写真館にネガの存在があるかの確認。すぐに「ありません」という残念な結果。そこから1時間ほど試行錯誤を繰り返し、写真をこの写真館に持参して撮影していただく行動に。

  何とか見られる程度に撮影可能だが、先方さんも多忙な時期、出来上がりの時間がタイムリミットをオーバーする。そこで思い出したのが私の友人、彼はこの写 真館の社長さんと懇意。「ちょっとお願い」と電話で頼んで30分したら「出来上がったそうだよ」と彼から有り難い電話。スタッフ達が信じられない顔つきで 喜んでいた。

 故人の取材調査資料に気になる書き込み、「念願の北海道旅行に行けなかったことが心残りです」とご家族が。そこで思い出し たのが私の部屋。全国各地に出掛けた際のパンフがあり、北海道の旅館やホテルの物も多くある。それと「北海道の旅」という本を買ってきてお柩の中に納める シナリオも。

 この発想、弊社が加盟する日本トータライフ協会のメンバー交流で学んだこと。彼らの顔を思い浮かべながらシナリオ構成を打ち込んでいる。

 故人が尊敬されていたのは、今は亡き「お舅さん」。明治生まれのお方で「書」に長けた人物。責任者がその遺作をお預かりしメモリアルコーナーに掲示する企画。そんな情報でナレーションの原稿も変わってくる。

 サービスの世界に限界はない。弊社のような手作り葬儀は特にそうだが、情報が入手できれば全てを表現してあげたいではないか。

ご 終焉の一回限りの大切な葬儀、だからこそ「かたち」につなげる知恵が仕事。葬儀のプロデュースとはそんな仕事であると確信しているが、それを自身で伝達で きる話術を磨けばもっと「活かされる」ことに。それこそ「生かされる」ことが終わった方への最高のプレゼントと考えたい。

 人生の思い出のひとこま、「この時、みんな楽しかったね。どう?この幸せそうな表情」と、そんな参列者の会話が生まれるよう、写真やビデオの編集で輝く「光景」を創造する。それが弊社の「シーン」というコンセプトでもある。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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