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2005-11-07

西向く士  NO 1325


  毎月送られてくる「Lion」という会報誌がある。これはライオンズクラブのメンバー全員に送付されるものだが、「ライオン誌日本語委員会」の発行する 11月号の終章「編集室」に「三つの命」と題された佐々木智英氏の文章が素晴らしく、今日は、その一部を原文のまま転載させていただく。


『人間には宿命と運命と寿命の「三つの命』がある。まず宿命とは、自分でどうすることも出来ないものである。

 例えば、親を選ぶことが出来ない。自分は男として、女として、日本の国のどこそこの家の長男、または二女として生まれた──これは変えることが出来ない。宿命である。

 次の運命は人によっては宿命と一緒に考え、他から与えられるもの。定まったもののように思っている人も多いようであるが、文字を分析してみると、そうではないことが理解出来る。

 運とは軍(いくさ)をし、戦いをして、車に載せて運ぶものを言うのである。

 具体的に言うと、人と人とが出会い、話し合い、心を通わせ合う。そして、良いところを学び取り、切磋琢磨して、努力に努力を重ねて、戦い取って、人生航路の上に載せて自分が運ぶものである。決して他から与えられるものではない。

 寿命もまた同じことで、アルコール類を夜遅くまで、二次会、三次会と一週間に八日も飲み歩くようなことをしていれば、せっかく与えられた寿命を自分から縮めてしまうことになる。

 一病息災と言って、自分の身体に悪い所があれば、無理をせず、大事に大事にするので、かえって長生きしている人もある。

 寿命は摂生すれば延ばすことが出来、逆に、不摂生をすれば、縮めることも出来るのである。

 現在、盛んに食育のことが言われている。食生活が多様化、飽食化し、食べたいものは何でも揃うようになり、かえって栄養の偏りや生活習慣病の増加など、さまざまな問題を抱えることになった。

 人生八十年と言われている昨今、大いに摂生して天寿まで生き、奉仕活動に精進したいものである。

 ちなみに、八十八歳米寿、九十九歳白寿、百十一歳王寿、そして百二十歳が天寿である』


 いかがだろうか、ライオンズクラブらしいお言葉だと感じ入ったこの文章、私は「王寿」の「王」という文字から「小の月」の語呂を合わせた「西向く士(さむらい)」のことを思い出した。

 西向く士の「士」が十一であることは誰もが知られる筈だが、この言葉が仏教に関する詩という説を何かで読んだ覚えがある。

「西向く士」には続く言葉あり、その物語によると、戦いに心身が疲れた「士(さむらい)」が剣を捨て、西方浄土に向かって悟ったのが「十王経」ということで、十王とは初七日から満中陰までの七回を経て、百箇日、一周忌、三回忌を加えた「あの世」の裁判官のこと。

 これをベースに22年前に書いたのが愚書「葬儀屋 七万歩才のあの世の旅」だが、ふと懐かしく思い出した今日だった。

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