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2005-12-31

ご近所の方々に手を合わせ  NO 1379


 帰宅途中、友人の割烹に届け物があって立ち寄ったら、居られたお客さんから思い掛けないお声掛け、過去に葬儀を担当させていただいた喪主様、ある著名な交響楽団の指揮者のお方だった。

 そこですぐに失礼とは出来ず、ちょっとだけお付き合いということになったが、コンダクターの秘話を拝聴したのが大変勉強になり「ご仏縁」に幸せを感じて帰宅。銭湯に行く前にこの「独り言」を打っている。

 さて、弊社の多目的ホール、地域の方々に懇願されてお通夜と葬儀を特別に行うことに。暑かった今年の夏、そして強烈に冷え込んだ先日までの酷寒時期のホール使用要望、そのすべてをお断りしてきたが、愛と人道というお言葉を耳にしたら頑固で変なオジサンもお手上げだった。

「ご迷惑を」とご近所にご挨拶、隣接の方々が「困っている人を救うのは供養になる」と温かいお言葉、お陰でご遺族や世話人の方々にお喜びいただけることになった。

 そんな温情のお言葉でご協力くださったご近隣の皆様に来年の「ご多幸」を祈念する私の特別な「気念」をお送り申し上げた。

 世話人の中に葬儀委員長を何十回もされた方がおられ、地域の会館使用との費用の比較で驚かれていた。テント、椅子、防寒幕、暖房設備などが一切要らず、それだけで大きな費用が削減出来る。ホールの使用料も全館貸切りで、今回は特別に地域会館と同じで提供申し上げた。

 地域会館の大半は布団の持込が禁止されているが、弊社の場合は清潔なレンタル布団のセットが大好評、つい最近に地域会館でご葬儀をされた世話人の方が「どうして?」と嘆かれてスタッフがお詫びしたそうだ。

  玄関前の整理で、いつもイベントの際に担当している女性警備員が立っていた。ご通行される方々の多くの方から「今日は、何のコンサート?」と質問を受けた そうだが、「お通夜です」とお応えしたら「本当に、そんな感じがしない」とのご感想。一般的な葬儀式場と全く異なるイメージで表側にも神経を遣った設定、 これらは、これまでのイベント体験から培われた発想からだった。

 ご訃報のご通知に「駐車場はございません。お車をご遠慮ください」とお願い申し上げたが、ご親戚の方々のご協力もあり、弊社のパーキングエリア内で納まったので安堵した。

 お近くのお客様だったが、冷え込みと駐車場のことをご理解くださり送迎バスをご用意され、イベントの時のように自転車が「いっぱい」という光景もなく済んだ。

 高齢の方のご葬儀には高齢の方の参列が多くなるのが当たり前だが、バリアフリーとエレベーターが便利と喜ばれ、参列者全員が着席されていたところから落ち着きがあり、想像以上に静かなお通夜が進められた。

 ご親戚の方がやって来られる中で予想していた問題があった。それは、弊社の建物に葬儀式場というイメージが全くないということから、前を通り過ぎて行ってしまったお方が数名あられたとのこと。

 元々葬祭式場として設計されなかったホール、それをご納得いただいていたのでクレームの対象とはならなかったが、玄関の前に「如何にも『お葬式』です」というイメージは明日も一切しないつもりである。

 お帰りになるお客様をお見送り、そんな中で耳にした言葉が心に重く響いて来た。「他目的ホールだろう?そこで葬儀を行うのも自然のことでは?」と言われたこと。何も返答しなかった私だが、困った人を救いたい心情は誰よりも強く抱いている。

「有り難う、温かくて助かったわ」と帰られた多くの参列者、ご近所の温かい「お心」に感謝した年末だった。
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