最新 最古
2006-01-03

慰めの薬  NO 1383


 元日から4日まで営業している友人の喫茶店、朝から立ち寄ったらいつもの常連客が誰もおらず、ひっそり。早朝からバスで出雲大社へ日帰り初詣に行ったそう。

 帰路は間違いなくUターン渋滞に巻き込まれる。それに中国道の落合ジャンクションからの米子道の雪が心配。「道路情報をネットで調べて電話を」と頼まれてきた。

 この喫茶店には様々な思い出があるが、忘れられないのは共通するゴルフ仲間の病死だった。葬儀が終わって落ち着いてからマスターと相談、40人ぐらいが集まって追悼コンサートを企画、そこに奥さんと子供さんを招待して「星名登録証」をプレゼントした。

 カウンターに置かれたモニターで宇宙の星の映像を流し、高橋三鈴さんのシンセサイザー演奏をバックに伴っていた弊社の女性司会者にナレーションを担当させ、全員が彼の死を惜しんで感涙し、出席された方々の語り草になっている偲ぶ会でもあった。

 そんな彼らと8台の車に分乗してゴルフコンペが行われたことがあった。ラウンドの終盤で予想外に雪が降り始め中断、入浴を済ませて外を見たら一面雪景色、10センチぐらいの積雪で大変な目に遭った。

 最寄の名阪国道のインターは「上柘植」だが、そこまで10分ぐらいなのに1時間を要し、名阪をしばらく走行すると通行止め。

 そこから各車の選択決断が始まった。手前のインターから雪の少ないと予想される名張側へ向かった者、開通するまでじっと車内で待っていた者などそれぞれあったが、私は柳生街道から奈良市内に抜ける道を選んだ。

 途中の峠が心配だったが、抜け道を知る大型トラックの走行で路面が何とかなると予想したのが的中、他の車より1時間以上早く帰阪出来た。

 最も遅く戻って来たのは開通待ちの2台、開通したのは3時間後だったそうだ。

 そんな思い出を語り合った偲ぶ会、その時にも遺族にとって思い出話が最高の「慰めの薬」だという体験をしていた。

 悲しみの娘さんは、多くのエピソードを耳にされ、お父さんが多くの仲間達に愛された人気者的存在だったことを知られ、それまでになかった目の輝きが印象に残っている。
 喫茶店や居酒屋、そこの常連には指定席みたいになっている席がある筈。そこをオープンにしてあげることも大切なこと。そこだけスポットライトを当てるだけでも会場の雰囲気が変化する。

 こんなケースで、私が過去に行った演出プロデュースのひとつを紹介しよう。

 会場はレストランだったが、進行に関するスピーカー2本の他に、1本の小さなスピーカーを全く異なる場所にセッティングしておき、ご本人のお声を流す時だけそのスピーカーを使ったのである。

  会場におられた皆さんが驚かれる。これは、空間で過ごす時間の中で勝手に生まれる「思い込み」を打ち破るテクニックのひとつで、想像以上の効果があるも の。偲ぶ会やお別れの会でそんなことを考えるプロデューサーはいないだろうが、これも永年の経験から学んだ知恵と言えるだろう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net