2006-09-08

いにしえの道を  NO 1621


 テレビの早朝のニュースで昨夜の大雨を知った。和歌山県の一部で1時間に120ミリという猛烈な雨を記録したそう。御坊市ではあちこちに落雷被害があったという。

 部屋に届けられていた朝刊を読み、それから朝風呂に。男性と女性の大浴場が入れ変わっていた。

 予約した時間に朝食に。部屋は夕食と同じ食事フロアにある落ち着いた小部屋。豪華なセットメニューが用意されてあるのに「バイキングもご自由に」という掲示があってびっくり。互いに食べ過ぎないようにセーブした。

 昨夜からお世話くださった女性スタッフの方が素晴らしい。笑顔、表情、仕種に「品」を感じる。総支配人に「ホテルの人<財>ですね」というような会話。弊社にヘッドハンティングしたいような雰囲気のある人。ご本人に伝えると謙遜される彼女の態度に好感度がアップ。

ホテルや旅館のサービスの「重き」は「人」がすべてだが、彼女が「見せる」自然で美しいホスピタリティの姿勢が、多くの宿泊客を「魅せて」きたことだろうと確信した。

 そこで、そのお世話になった「萩原さん」との出会い手を合わせ、心から「有り難う」を申し上げる。

総支配人が発信されるブログを訪問すると3日間、私のことに触れてくださっており恐縮。「ブログを始めるきっかけとなった」という表記もあったが、それだけに責任も感じている。

 そのホテルが何処なのか? ミステリーではないが、お暇な時にネットでお調べいただければと思っている。ヒントは今から書くが、もう和歌山県内であることはお分かりになられただろう。

 世界遺産「熊野古道」千年の癒しを求めて歩く「ウォーキングガイド」と記されたパンフレットを読みながら、帰路は龍神温泉から高野山を経て橋本に。そこから24号線を五條方面に進み、葛城、金剛山の東側にある御所市を通って大阪市内に入るコースを決めた。

 大きな川に沿って本宮方面に遡り、いよいよ山間部に入って1時間半ほどで龍神温泉に到着。妻の古い知人が旅館に勤めている事を聞いていたので立ち寄ったが、数年前に退職をされていたことが分かった。

 上御殿、下御殿という旅館の名称が珍しいが、紀州公にゆかり深いところから命名された歴史ある温泉で日本三大「美人の湯」として聞こえたところである。

  私自身にも仕事を通じたえにしがあった。随分前だが、大阪市内で担当させていただいたある葬儀、ご親戚の焼香順位を確認したら10名様ぐらい「龍神」とい う苗字があり、喪主さんに「たつがみ様ですか?」「龍神様ですか?」と確認したら「りゅうじん」ということが判明、それがこの龍神温泉の旅館を経営される 方々だったので印象に残っていた。

 今回の講演を受講された方の中にも龍神さんがおられたそうで、そのことには触れなかったが、受講者の皆様はこの「独り言」の存在を知られたところから、ちょっと旅館やホテルサービスについて僭越ながら書かせていただく。

高 級旅館に宿泊時、応接セットのあるコーナーでチェックインを行い、そこでお抹茶やオリジナルのアイスクリームなどが出される場合もあるが、仲居さん達がい つの間にか荷物を部屋に運んでくれるサービスには不信感が生じるもの。携行するバッグなどはお客さんと行動を共にするべきであろう。

 また、ある旅館で部屋に鍵のない旅館があった。内側から掛ける鍵の存在はあって就寝時には安堵するが、外側からの鍵の存在は一切なく、大浴場へ行く際には<大丈夫?>という変な思いを抱いた経験があった。

 その旅館のコンセプトは「当旅館にはおかしなお客様は来ません」というのが誇りみたいだが、どうしても疑問を感じるレベルの発想であると断言する。

  部屋食でないケースでは、夕食時に行っている間に布団が敷かれていることも一般的だし、朝食に出掛けて部屋に戻ったら布団が片付けられているのも常識みた いな現状だが、考えてみればこれもおかしなことではないか。チェックインをしてキーを手にした瞬間から与えられた部屋空間は完全にプライベートルームと発 想するべき。この部分での都市型ホテルとの差異が旅館に対する抵抗感という人達がいることも知って欲しいものである。

 私は「ここは、何が売り物ですか? お薦めですか」なんて質問をすることが多い。それで「お風呂です」「料理です」なんて当たり前の返答を仲居さんからされると寂しくなる。そこでしっかりとした「思い」を熱く語ってくれる旅館に出会うと幸運を感じる。

 さて、龍神温泉で入浴しようと考えていたが空模様を考慮しながら龍神、高野スカイラインに向かう。数年前から無料になった元有料道路だが、中々快適なドライブとなった。

  久し振りに訪れた高野山。交流のある方々が多くある。<何処に寄ろうか?>なんて思いながら走行していると圧巻、壮観という光景が飛び込んできた。衣の装 束を身に着けた修行僧のよう若い人達が100人ぐらい整列して歩いている。「葬列」ならぬ「僧列」だが、いかにも高野山ならではの光景、杉並木に最高に似 合うシチュエーションというイメージだった。

今回の講演で名刺交換に至った方が多くあったが、「一度、当ホテルにも」というお言葉が何より嬉しく、また行って見たいところが増えた幸せに手を合わせている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net