2003-07-14

体験に勝るものなし     NO 485

今日、私が担当してきた葬儀は、昭和21年生まれの方。私よりひとつ年上。享年でいくと58歳。私に還暦が近付いてきたことを再認識させていただいた。

 故人は現役のサラリーマンだったそうで、上司や同僚の方で式場の中がいっぱいになった。

 喪主をつとめられたのはお母様。数年前からお身体のご不調を来され車椅子。専属のヘルパーさんが付き添い、移動の際にテキパキと行動されていた。

 「勉強しなさい」と女性スタッフ達に命じる。それは、車椅子の扱い。

弊社には看護士の経験をした女性スタッフがいる。彼女は障害者への対応が長けており、こんな場合に大いに役立ってくれる。

さて、火葬場へ向かう道中。故人のお姉様が助手席に乗られた。後席にお寺様と喪主様がおられ、お2人が病気について話されている時、新潟から来られたというお姉さまが話し掛けてこられた。

「こんなお葬式、初めてでした。何もかも違うのですね?」

 それは、所謂、地域的な慣習の相違かなと思っていると、そうではなく、弊社の葬儀の進行が「静か」で、司会のコメントや開式前のオリジナル奉儀をお喜びくださった。

 「音楽が印象に残っています」 そんなお言葉もあったが、式場に流れる音楽は、『思い出を形見に』という弊社の企業理念のひとつでもあり、何より嬉しいお言葉であった。

 葬儀に参列される方々には、義理的会葬者も多く、失礼だがインテリジェンスに欠けた方の私語が式場空間を乱すもの。

私は、こんな方々への「喋らせない雰囲気作り」をモットーとしており、何処の葬儀社よりも静かな葬儀だと言われる背景には、音楽と言葉の演出が行われているのである。

 「不思議な葬儀だった」「こんな体験初めて」

 そんなお言葉をご親戚や会葬者から頂戴することが多いが、これらには積み重ねた「神変」へのテクニックが秘められてあり、ここに「司式」というマインドコントロールに近いプロの技を活用している。

 喪主を体験して初めて一人前の『葬儀「者」』の資格。孫を持って初めて祖父や祖母の心情が理解出来、確実に葬儀の内容が変化する。

 これは、私が体験してきた中での「重い言葉」である。若いスタッフ達には「それまでは謙虚に」と教えているが、これも体験に勝るものはないと考えている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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