2002-07-20

人生模様とナレーション    NO 140

葬儀の司会で10,000名様以上を担当させていただいたが、故人の人生表現をとのご要望から、生い立ちナレーション を創作することが増え、その内の、3,000名様以上の方の人生を取材したことになり、それぞれの方が織り成してこられた様々な人生模様を拝聴してきたこ とになる。

 故人が尊敬されておられた方は?との質問に、「父でした」「母でした」と、ご両親のお名前が登場することも多く、こんなご家庭で共通している特徴に「厳しい躾と教育」がある。
 
<明治生まれの男性らしく厳格で・・> <大正生まれの女性らしく辛抱強く・・>
 こんなお言葉を耳にすることも多いが、取材原稿を見ながらシナリオ創作する時、いつも時代の流れの背景を思い浮かべながらパソコンを打ち込んでいる。

 70代、80代の方々は、少年、少女、青春時代を大正から昭和の始めに過ごされ、戦乱、終戦、戦後の激動昭和の筆舌に耐えないご苦難をご体験されており、つくづく今の時代の幸せを感じるもの。

「偉大な父でした」「偉大な母でした」
  そんなお言葉を拝聴するご家庭は、葬儀に対するご希望がグローバルで、「送る」というコンセプトがしっかりされ、出来るだけ思い出話の中のエピソードをお 聞かせいただくようにつとめているが、「したためておきました」と、10数ページに及ぶ人生物語を喪主様から頂戴したこともあった。

「人生表現? 母は平凡な女性で、何の肩書きもありませんでしたから」
  ご遺族のそんなお言葉では、ナレーション資料が集約出来ないと思われがちだが、人生最大の喜びは? 衝撃は? 子供達にとってどんな母親? 孫達にとって どんなおばあちゃん? ということだけで、大企業の会長さん以上の人生表現も可能となり、ナレーションは「肩書き」の列記ではなく、「人と為り」を表現す るということになる。 

 思い出のお写真を拝借しビデオ編集を行い、ナレーションを被せることも多いが、この場合、その方の人生だけでは なく、お人柄を確実に把握することが大切で、トーク原稿の文字数の変化に秘められたテクニックがあり、時には「プロジェクト?」の田口トモロヲさんバー ジョンも生きてくる。

 映像、ナレーション、BGMそれぞれのバランスも重要で、時には映像に、時にはナレーションに、時には音楽にと、参列される方々側での客観的な構成を考慮しなければならず、時間に追われている時の完成度がダウンしてしまうのは事実。

  一方で音楽のボリュームが重要で、その曲の構成を確実に把握し、例えば<スリーコーラス目で、口調をゆっくり>というような全体構成を組み上げ本番に臨む 訳だが、素晴らしい曲でも「盛り上がり過ぎる」という部分があると難しく、これらを解決したいがためにオリジナルCD「慈曲」の誕生に至ったのである。

  さて、今日のご葬儀、お柩をお開けしたお別れのひととき、シンセサイザー奏者が「慈曲」から私の作曲「逝かれし人へ」を演奏してくれていた。単純な旋律だ がご出棺時にだけはマッチしていると思っているが、「慈曲」9曲を作曲された美濃三鈴さんに演奏を願い、改めて彼女の卓越された技術と編曲力の素晴らしさ を体感することになった。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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