2003-04-17

即興ナレーション   NO 402

朝から、あるお寺で葬儀が行われていた。

 このお寺は私が懇意にさせていただいているところから、葬儀の始まる10分前頃に行った。

 本堂に設けられた祭壇は、花祭壇。故人がお好きだったという花ばかりが使用され、中でもお柩の回りを取り囲む向日葵の花が印象的であった。

 10人足らずのご遺族が着席され、10数人の会葬者が来られていたが、1才ぐらいと3才ぐらいのお2人の曾孫さんの存在が、何か式場をあたたかく感じさせてくれている。

 故人の尊寿は96歳。私の年齢からすると、まだ40年も生きなければならない。もし生きたとして、その時の自分の葬儀光景を思い浮かべると、自然に司会を担当させていただこうという思いに駆られ、マイクを握った。

 すぐに導師が入場され、葬儀式が始まった。引導作法が終えられるまで10数分ある。

そこで担当者から手渡された故人の情報に目を通し、お経を拝聴しながら約4分間の即興形式のナレーションを創作することにした。

故人のご遺志で家族葬というところから、故人に関する情報は極めて少なく、草稿の8割は思いつきで、愛、命、感謝、人生というテーマを中心に組み上げてみた。

外は春の香りが漂っている。行く前に見た車載の温度計は23度であったが、これだけでも1分バージョンのナレーションが創作可能で、詩の創作にあって日本の四季の存在は非常に有り難いもの。

 1時間のナレーションでも簡単に創作可能だが、私がいつも配慮しているのは、目で見る文字と耳で聞く言葉のイメージの差異。どうしても耳で感じることが難しい場合には、その言葉が浮き上がるように前後に修飾語を用いることも仕方がない。

  さて、葬儀が行われているお寺の本堂の中。導師の引導が終わりナレーションとなったが、何より時間の余裕がある。その上に参列者が少ないということは、そ れぞれの方の表情を見ることも可能であり、今日は、「この言葉には、こんな表情を見せられるかの」という、私にとって、また貴重な葬祭心理学の研究に役立 つ発見につながった。

 「人間、死ぬまで勉強」という言葉があるが、まだまだ学ばなければならないことが多く、今しばらく生かせていただきたいなと願っている。

 そんな中、明日、私の隠れ家にお客様を迎える。過日に会食を行った際、神戸のメンバー企業の社長と約束を交わしたことの実現。司会者に対する高等技術のマンツーマン研修の日となっている。

 来社される人物は若手で、かなりの実力を持っているとも伺っているが、私のマンツーマン教育の手法は変わっている。これは、体験した人にしか理解出来ないものだが、確実に意識変化が生まれる筈。

 いつも、まずは「分解」から始めるが、この部分で全員が自信を喪失するのもシナリオ。さて、明日の彼は、どんな吸収力を持っておられるのだろうか。奥義と裏技まで進むことになればと思っている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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