2012-03-03

平等  NO 2860


「幸せ列車」のコラムに「かめかむか」さんが書かれた看護師さんに対する患者さんが比喩した「梅」と「桜」の話が素晴らしい秀逸で、触発されたみたいに大阪城公園の梅林に行ってきた。

 冷え込みの厳しかった今冬の気候からか、例年より咲くのが遅れているようだったが、園内は人がいっぱいで、カメラ付の携帯電話やブログの流行もあるようで、あちこちで撮影される姿にぶつかり、その度に人の流れが滞留するので困ってしまった。

 また、禁止されている柵越えをして接写する人も多く、マナー違反がこんなところに蔓延っている現実に寂しい思いも。

 さて、世の中には我ら庶民には信じられない家も実在している。仕事で参上して驚いた家、何れも大阪市外や他府県の分を紹介しよう。

 まずは、庭が水熊本の前寺公園や岡山の後楽園のように立派だった家があって、世の中、どうなっているの?と疑問を抱いたこともある。

 次に体験した家は、庭に竹やぶと川の存在があり、川の上に茶室があったので驚いた。

 また、インターフォンを鳴らし、開けられた玄関の扉から「失礼します」と入ったら、そこが2階で、螺旋階段で下に降りるという体験。そこは、山の斜面に立てられた特別な邸宅だった。

  一方で、鉄に関する会社を経営されており、釘を一本も使用しないで建築された純和風数寄屋造りの家にも驚愕したが、葬儀当日にはもっと驚く事実を知った。 祭壇を設けた部屋にご親戚の椅子席を準備、その後方に交流のあられた特別な方々の席があったのだが、その指定席みたいに貼られたお名前を目にしてびっく り。日本を代表する家電メーカーのトップや政財界のVIP的方々が並んでいたからだ。

 その当日、サプライズはまだあった。開式30分ほ ど前、喪主様に呼ばれて別室に参上したら、著名な茶道の宗匠さんが来られており、開式前に茶室で点てられ「奠茶」の儀式を行われるとのこと。慌てて別室の 来られていた宗教者の方々と打ち合わせ、式次第を変更することになった。

 ゴルフのご趣味が高じて庭にグリーンとバンカーのあった家にも驚いた。ご家族に伺った話だが、故人はバンカーが苦手だったそうで、いつも練習をされていたのに一向に上達されることなく、「わしは、ゴルフに嫌われているみたいだ」とこぼしておられたそうだ。

  ゴルフ好きの方が別におられた。庭に60ヤードぐらいのコースを造られていたのだが、ご自分で造成されたと言うのだからびっくりだった。いつもパンチ ショットで狙われていたというグリーンには、ご主人を失ったピンフラッグが、如何にも悲しげそうにはためいていたような気がした。

 そん なケースとは反対に、地域の民生委員さんから依頼を受けて参上した家。お爺ちゃんの布団の横に、背を丸くされ、ぽつんとお婆ちゃんが独りだけで座っておら れたが、ただ一つだけ点灯していた裸電球に照らされた暗色の世界に置かれた水屋には、ワンセットのお茶碗とお皿が置かれていただけだった。

 子供の存在がないというご夫婦だったそうだが、ご近所の方々が中心となって行われた福祉葬儀は、それはそれは温かいお式となったので印象に残っている。

  何度か書いたスーパーやコンビニが進出する我が葬祭業界だが、彼らの「ビジネス」という発想には福祉葬儀の存在はないだろう。今日の紹介に出てきたよう に、家の格差が存在しても、大切な人を喪うという悲しみに格差はない筈。ゆえに弊社は福祉葬儀を担当することが多く、この仕事が「供養」という行動で成り 立つと考えている訳である。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net