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2005-02-09

大変なのです?  NO 1062


 昨夜、いつもお世話になっているお医者様に銭湯の中で会った。

 やがて脱衣場で体重計に乗っていると、「増えたかな?」と先生が覗かれている。そこで今日受ける病院での検査について教えていただいた。

 「今は医療器具が進歩しているから楽だよ。その検査ならすぐに済むよ。造影剤の点滴がちょっと痛いかもね」

 そして帰宅してから大変なことが。深夜と早朝、相次いで知人からの訃報の電話。スタッフとの何回ものやりとりで睡眠不足の状況。どちらも私が担当しなければならないお客様。スケジュール調整を思案しながら出社し、午前中の予定を進めていた。

 やがて昼食を抜いて検査のために病院へ。着替えて胸腹部のCT撮影が始まった。

 さて、最近、どうもラッキーなことが続いていると思っていたのだが、今日は最悪の不運に遭遇することに。献血時や血液採取で「血管が細いですね」と言われる私、造影剤の点滴の太い注射針を3回も抜いたり刺したり。これは並の痛さではなく悲鳴をあげた。

 しかし、それは災難のほんのプロローグでしかなかった。

「始めますよ。造影剤が入って行く際に痛みが伴いますが大丈夫ですから。身体が熱く感じてくる筈ですから」

 確かに何かが始まった。「息を吸って、止めてください」とのアナウンスと同時に、左腕に経験したことのない激痛が走り、熱くならない身体の上をCTの機械が通り過ぎる。

 <これ、何かがおかしい? 普通の痛さじゃない。左腕の指先が完全に痺れてしまっている。針の刺し口からの痛みが広がり始めている>

 左腕が無感覚になった。<造影剤の漏れ?>と思いながら腕を見ると、腕時計のベルトが食い込むぐらいに腫れてきており、急いで時計を外した。

 「痛かったですか? 大丈夫ですか?」と看護師さんが心配そう。残念な結果だがCT撮影は造影剤なしのもの。造影剤の大半が私の腕の血管外に流れ、腕が見事に太くなってしまっていた。

 冷やすための応急処置を施され、内科担当医と事務長らしき方の「ごめんなさい」を聞き、湿布薬と痛み止めを頂戴して帰社したが、帰路は腕のふくらみでカッターシャツも着れず、ブレザーの片側を通した惨めな姿。

 三角巾で腕を吊った姿を目にしたスタッフ達、「どうしたのですか?」と驚愕の声。看護師の資格を持つスタッフの「日にち薬です。液が吸収されるまで腫れと痛みが続きます」と厳しい分析アドバイス。

 左手が使えないのは不便だ。パソコンを打つスピードもダウンするし、何より司会の際のハンドマイクで苦労する。CDの入れ替え作業や弔電めくりも大変だが、最大の難問は礼服の着用だ。

 明日、明後日と、数件のお通夜と葬儀を担当したら出張があり、ここで大問題が予想される。

 災難とは予想外に起きるもの。人的な医療ミスとも言えるだろうが、加害者を責める気持ちはない。人は誰もがミスを犯すもの。それより改めて検査を受けなければならないことが苦痛。

 上半身、下着姿で過ごした「隠れ家」でのひととき、原稿を打ち込みながら自分で寂しいリハビリ。自宅に戻っていつも服用する薬をいただきにお医者さんに。

 「何っ、それ。まあ、災難ね?」

 事情を説明すると診療時間外に「来院を」と。ご夫婦で丁寧に湿布薬の張り替えをしてくださって感謝し、プロゴルファーやピアニストでなかってよかったと思っている。
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