2004-04-12
ホスピタリティ NO 761
最近、びっくりするほど多くのメールが着信する。商品案内やセールスは省かれているが、プリントアウトして報告されてくるだけでも大変な量。それぞれの方々へ返信するとなれば、本業に影響を及ぼすことになり悩んでいる。
一方で、私個人のメールを開くことも増えてきた。しかし、これは何より楽しみな日課作業。外国にいる娘が孫の写真を送信してくれているから。
こんなメールの時代、誰が予想出来ただろうか? 一昔前ならエアメールの世界。それが瞬時に送受信。便利な時代の到来は、その裏側に「諸刃の剣」の理のように問題が孕むもの。
その隙間をターゲットにした「ややこしい」ビジネスも潮流、典型的な隙間産業と呼ばれる我が葬祭業界にも顕著である。
さて、孫の写真に添えてあった娘のコメントに興味を覚えた。時差ボケやホームシックをどうやら乗り越えられた孫、やっとお気に入りの食べ物を見つけたよう。
それは「ホットドッグ」だそうだが、次のように書いていた。
『食育とはよく言ったものです。こちらの人は、アジアの繊細な味付けに比べると非常に単純な味付けのものしか食べていません。考えられないくらいに犯罪が 多かったり、平気で他人の領土へ軍隊を送ったりできるのは、適当に味付けされた食べ物を小さい頃から食べさせられているからでは? 心底そう思ってしまう のです』
<こんな食環境の国に孫が、大丈夫か?>と思ってしまうが、昨日に書いた外国語、近い将来「会いたさ、見たさ」で出掛けるだろう英語の世界、私が難儀するのは確実だろうし、食育?から病的な偏食の私、外国での食事は大きな悩みの種でもある。
今日、古くから知り合いのルポライターがやってきた。彼は、過去に私のことを何度か雑誌に紹介してくれ、業界で話題となった「現代お葬式事情」の冒頭で、信じられないようなかっこいい表現で書いてくれたこともある。
そんな彼が取材に来社したのは、ホテル業界の特集。偲ぶ会、お別れ会、社葬などを積極的に展開するホテルビジネスの特集を書くそうだ。
これまでにプロデュースを担当したホテル葬映像の一部をご笑覧いただいたが、「完成している」という評価を頂戴し、十数年前から予見していた時代が到来している現実を迎え驚かれていた。
明日、誰もが知られるホテルから3名のお客様を迎える。過去にレクチャーを依頼され参上したことがあるが、どうやら本格的に取り組まれるお考えが生まれたよう。
最近流行のホテル社葬だが、花一輪お供え型の食事バージョンの評判がすこぶる悪く、「これだったら社葬なんて必要ない」という参列者の声が高まっている。立礼の遺族を晒し者の状態にし、儀式を一切行わない「会」なんて飾られる「遺影」に失礼の極み。
ホテルの語源であるラテン語の「ホスピターレ」から生まれたホスピタリティーという言葉、それは、悲しみのお客様をご満足させることこそホテルサービスでは。その欠落に気付いたホテルが動き始めた兆候を感じている。